アオハル×フラグ=恋。

校門をくぐった瞬間、
里穂は学校正面の大きな時計を見る。

すると意外なことに、
予鈴まではまだ十分あった。

「え、めっちゃ余裕じゃん!」


さっきまでの焦りが一気に抜ける。


「君、ここが西ヶ丘高校! ほいじゃ!」


荷台の男子生徒へそう言い残すと、
里穂は急いで自転車を降りた。

そのまま駐輪場へ突っ込み、
鍵をかけ、
下駄箱へ向かってダッシュする。


走りながら、
ふとさっきの男子の顔が浮かんだ。

全然見たことなかったな……。

っていうか、
高校の場所知らないってなに?

もしかして転校生?


そんなことを考えているうちに、
教室の扉が見えてくる。


「やばっ」


ガラッ!!


ズザザザザーッ!!


ほとんどスライディングみたいな勢いで、
里穂は自分の席へ滑り込んだ。


「うぶぶぶぅー……間に合ったぁ……あぶねぇ……」


机に突っ伏しながら、
大きく息を吐く。


するとすぐに、
いつもの三人が集まってきた。


菜々子「おはよう、りほりほー」

好桜「おはようございます、りほちゃん」

愛華「おっはー。なにその死にそうな顔」


里穂はぐでーっと机に潰れたまま答える。


「寝坊したぁ……」


愛華がニヤニヤしながら顔を覗き込む。


愛華「ねえ、りほ」

「んー?」

愛華「さっき校門のとこで見えたんだけどさー」

菜々子「うんうん」

愛華「男の子、後ろに乗せてなかった?」


菜々子・好桜「えっ、まじ!?」


里穂は顔だけ少し上げる。


「うーん……まあ、確かに乗せてた」

菜々子「うわっ、ほんとなんだ!」

「なんか途中で道聞かれて。この学校来たかったらしくて」

好桜「え、それって転校生じゃないですか?」

愛華「転校生を荷台に乗せて登校!? 青春じゃん」

「いや知らないって。全然喋ってないし」

好桜「でも見たことない人なんですよね?」

「うん、多分……転校生、かなぁ?」


すると菜々子が、
急に机をバンッと叩いた。


菜々子「うおぉぉっ、それフラグじゃん!!」

「……フラグ?」


里穂はきょとんとした顔で首を傾げる。


愛華「あーもう、りほは分かってないなぁ」

菜々子「こういう偶然から恋って始まるの!」

好桜「曲がり角でぶつかる、みたいなやつですね」

「いやぶつかってないし」

愛華「でも荷台には乗せてる」

菜々子「しかも転校生っぽい」

好桜「少女漫画ならもう始まってますね」

「なにが!?」


三人は顔を見合わせる。


そして同時に言った。


菜々子・愛華・好桜「恋が!!」