私のかみさま(改)

「…………今日も」



榊はあの場所に、ひとりでいるのかな。



「…っ」



そんな事を思ったら
余計に胸が苦しくなって
うまく呼吸ができなくなる。


寂しそうな後ろ姿が、悲しそうに笑う顔が
簡単に、想像できてしまう。



「………どうして?」



知り合って間もない
たいして仲が良いわけでもない
正体不明の不審者なのに


どうして、私は


あの人がひとりでいることが
寂しい思いをすることが


こんなにも、嫌だと感じるのだろう。




―トントン




「……佐奈」



控え目に響いたノック音と
小さな呼び声に、意識を引き戻される。



……お母さん。



「…」



そっと起き上がって
閉ざされたままのドアを、黙って見つめる。


相変わらず、言葉に詰まって
無言しか返せなかったけど
お母さんは気にせずに、言葉を続けた。




「佐奈、お母さん
しばらく、おばあちゃんの家に泊まるから」




―――。




――…音が、消えた。




「ご飯は自分で用意してね
お金はいつもの所にあるから」




うるさく鳴いているはずの
セミの声がまったく聞こえない。




「何かあったら電話してちょうだい
……じゃあ、行くわね」




なのに、扉越しのその小さな声だけは
嫌なくらいに耳に響く。