驚いたような、感動したような
なんとも言えない顔で私を見下ろす。
「……初めて、俺の名前を呼んだな」
…
……
…………そっち?
てっきり声をあげたことに
驚いたんだと思ったのに
あまりに榊が間の抜けたコメントを
寄越すものだから
私の方が呆気に取られてしまう。
「………結構、嬉しいものなんだな」
ひとりごとのように呟くと
柔らかく表情を崩す。
言葉通り、嬉しそうな表情を浮かべる榊に
私は毒気を抜かれた。
「…………大袈裟じゃないですか?
名前、呼ばれたくらいで」
伸ばしていた手をゆっくり下ろす。
すっかり気が削がれてしまった私は
工具を取り戻すのを断念して、深くため息をつく。
「名前を呼ばれたのは、十数年ぶりだからな」
「……十数年ぶりって
家族とかに呼ばれないんですか?」
「家族はいない。友人は皆
今は遠い所にいるから中々会えない
今現在、俺はひとりだ」
……笑っているけど
どこか寂しそうに見えるのは
きっと、気のせいじゃないだろう。
…………誰だって、孤独はつらい。
「……ひとりで寂しくはないんですか」
「今は、お前がいるから寂しくはない」
「…」
愚問だと言わんばかりの表情に
静まっていた心の水面が、再び揺れ始める。
小さな痛みと、苛立ちと
よく分からない、もやもやが
その水面を激しく揺らしていく。
瞬く間に激しくなっていく揺れに
気持ちが悪くなる。
なんとも言えない顔で私を見下ろす。
「……初めて、俺の名前を呼んだな」
…
……
…………そっち?
てっきり声をあげたことに
驚いたんだと思ったのに
あまりに榊が間の抜けたコメントを
寄越すものだから
私の方が呆気に取られてしまう。
「………結構、嬉しいものなんだな」
ひとりごとのように呟くと
柔らかく表情を崩す。
言葉通り、嬉しそうな表情を浮かべる榊に
私は毒気を抜かれた。
「…………大袈裟じゃないですか?
名前、呼ばれたくらいで」
伸ばしていた手をゆっくり下ろす。
すっかり気が削がれてしまった私は
工具を取り戻すのを断念して、深くため息をつく。
「名前を呼ばれたのは、十数年ぶりだからな」
「……十数年ぶりって
家族とかに呼ばれないんですか?」
「家族はいない。友人は皆
今は遠い所にいるから中々会えない
今現在、俺はひとりだ」
……笑っているけど
どこか寂しそうに見えるのは
きっと、気のせいじゃないだろう。
…………誰だって、孤独はつらい。
「……ひとりで寂しくはないんですか」
「今は、お前がいるから寂しくはない」
「…」
愚問だと言わんばかりの表情に
静まっていた心の水面が、再び揺れ始める。
小さな痛みと、苛立ちと
よく分からない、もやもやが
その水面を激しく揺らしていく。
瞬く間に激しくなっていく揺れに
気持ちが悪くなる。


