「えっと、五十嵐さん…?」
私たちが手を伸ばしたのはランダムトレカ付きのチョコレート。しかもそのランダムトレカは魔法少女の…
(高校生男子が魔法少女のカード付きチョコをわざわざ買うか…?まさかコイツ、転売ヤーか!?)
魔法少女のグッズはアイドルのグッズのような感覚で集めてる人が多い。時に熱狂的なマニアには、とてつもない値段で転売できるとか…
正直、転売サイトで売られてる私のグッズの値段を見た時は恐怖を覚えたくらいだ。
(これから兄になる人が、転売ヤー…?)
何か複雑な気持ちが私の中でモヤモヤとしていると、五十嵐さんは声を荒げた。
「が、学校では秘密にしてくれ!」
「…?」
話を聞くと、どうやら五十嵐さんはただの魔法少女のファンだったらしい。確かに魔法少女は女子学生のファンが多いけど、最近は男性ファンも負けないくらいに増えてきてるしおかしくはないか…
(転売ヤーなんて疑ってごめんなさい…!)
普通の純粋なファンだったことを知り、私は心の中で謝る。
「…凛、さん?も、魔法少女、好きなんだ?」
「え?ま、まぁ…」
好きっていうか本人です。
「へー…」
彼は一つだけ商品を手に取った。私も一つ手に取る。
「…凛、さん?」
「呼び捨てで大丈夫ですよ、」
「…凛は、誰推しなの?」
「私はレモンちゃんに憧れて…」
レモンちゃんは私が魔法少女になる前からよくテレビでも見ていた、超可愛くてかっこいい人だ。
彼女は両親共にハーフのためか、生まれつき髪が金髪だ。私みたいに普通の髪色じゃないのに、周りと違うところは自分の強みだと言える彼女に惹かれて憧れそ持つようになったのだ。
「へー…あれ?これ、神奈川編だからレモンちゃんは居ないんじゃ、」
(やばい!自分のグッズも集めてます、なんて言えない!)
「あ、うん。魔法少女みんな好きだから…」
(嘘ではないしな…?)
「そうなんだ。あ、俺払うよ。」
「え!?自分で払えます…!」
私の返答を無視にお会計を済ませた五十嵐さん。
(さ、流石学校一のモテ男。侮れない…)
「あ、ありがとうございます…」
彼から商品を受け取って、そのまま一緒に帰る流れになってしまった。
(ど、どうしよう!!こんなイケメンが隣にいるって落ち着かない!)
チラリと彼の顔を覗くと、マッチ棒数本モテそうなほど長いまつ毛が目に入った。
「あ、あの…」
私はチョコの袋を開けながら彼に声をかける。
「お願いなんですけど、私が義妹ってこと学校で黙っててもらえますか?」
「…なんで?」
彼もチョコの袋を開けながら返事をした。
「その、学校一のモテ男と一緒に住んでるなんて知られたら、貴方様のファンに何されるか…」
五十嵐さんはファンクラブがあるほど学校で人気のある人だ。そもそも生徒の間で生徒会自体がアイドルグループのような扱いなのに、その中の生徒会長の妹なんて…
ハブられるくらいなら平気だけど、逆に私を通して仲良くなろうとしてくる人がいたら流石に相手にするのは辛いし…
現に一学年上の先輩で、生徒会副会長の人の妹さんが居るが毎日大変そうだ。この前なんて副会長さん宛のプレゼントを10個も持たされたとか…
(本人に渡しても受け取らないから、代わりに妹に持たせるとか怖すぎるでしょ!恋する乙女は最強って言うけど、最恐の間違いだわ!!)
「あー…確かに俺にも、すごい人数の女子が群がってくるからな。妹って立場になるだけでも大変か。」
「女子が群がる、ですか。モテる人が言うことは一味違いますね…」
生徒会は今六人のイケメンと、一人の美少女で構成されてるが、まぁ言わずとも全員モテモテだ。
中には完全にモテることを嫌がり、近づいてくる人を威圧する人もいれば、モテてることを知りながらも返って利用する人もいる。五十嵐さんはどちらかといえば後者だ。
いつでもノリで生きてるようなイメージで、まぁいわばバリバリの陽キャだな。
(そういえば学校ではもっとキラキラしてるのに、今日はテンション低いな。)
いや、まぁ急に妹ができたらこんな感じか。それとも、裏の顔ってやつか。
(裏の顔…なんか触れちゃいけない気がするんですけど。)
私は顔を振って誤魔化す。
考え直すと、五十嵐さんって静かで無口タイプのイケメンってよりも、いつでも笑顔陽キャタイプのイケメンじゃんたしか。とにかくノリで生きてるような感じだ。ちょっと意地悪いところもあるが、あくまで小悪魔的でそこが逆にモテる要素だとか…
「あ、それ…!!」
「?」
彼は私のカードに指を指す、それは私の魔法少女の姿、ミルクのカードだった。残念ながら全員写ってるシークレットや、キラキラしたレアカードではなく、ただのノーマルカードだ。
(見事に自引きしたな。)
逆に五十嵐さんの手には水青髪ロングの、魔法少女・ミントのレアカードだった。
「いいなぁ、レア…」
そう呟くと、五十嵐さんが食いつく。
「交換してくれない!?」
「え?…もしかして、五十嵐さんって、ミルク…ちゃん、推しなんですか?」
私が聞くと彼は頷く。
うん、ファンが目の前にいるってめっちゃ変な気分。
交換してあげたいとこだけど、せっかく自引きしたしな…
「じゃあ、交換の代わりに、私が義妹ってこと学校で黙っててくれますか?」
「約束する。」
「交渉成立ですね。」
(そもそもグッズ発売と同時にサンプルが家に届いてるし、別にあげてもいっか。)
あとは通学中に気をつけなきゃだけど、家から学校だいぶ離れてるし問題ないだろう。
(これで私のスクールライフは守られた…!)
さっきまでの心配事がなくなって、気分が良くなった私。しかし、私の一言ですぐに別の問題が発生した。
「ミルクちゃんを推し始めたきっかけとかってあるんですか?」
自分のファン、しかも珍しく男子高校生。好奇心から聞いてしまった質問に後悔した。
「一目惚れだよ。半年くらい前に東京で、大型デビル大量発生した時あっただろう?あの時、俺初めてテレビ以外で魔法少女を見たんだ。まだ、ミルクちゃんが天使ちゃんって呼ばれる前でさ。」
(魔法少女はちゃん呼びするのが普通といえど、イケメンにちゃん呼びされるのってむず痒い感覚だな。)
「初恋だよ…」
(ん?初恋…?)
「俺、ミルクちゃんのことが好きなんだ。アイドルにガチ恋してるみたいで、自分でもバカみたいだなって思うけど…それでも初めてなんだ。こんな感覚。」
(あれ?なんか、怪しい方向に行ってない?)
「魔法少女プロフィールの豆知識に、書いてあるんだ。ミルクちゃんはアルビノで、変身の時と髪色が同じって。」
「そ、それが?」
「俺らの学校にも、アルビノの生徒がいるはずなんだよ。丁度お前の学年で。絶対見つけ出して、俺のものにする。」
(あ、やばい終わった。)
皆が言う小悪魔笑みの意味をやっと理解した。いつも五十嵐ファンの話を聞いてもなんとも思ってなかったけど、確かにこれはずるい…
(いや、ていうかマジで終わりなんですけど。家でも絶対にカツラとカラコン外せないじゃん…)
「そ、そうですね…」
「ねえ、協力してくんない?」
「?」
彼は私の方を見る。
「全校集会の時にも探したけど、髪の毛が白い人はいなかった。うちは校則的に髪染めても良いし、もしかしたらカツラとか被ってきてる可能性あるけど…だから、探すのに協力して欲しい。」
「私なんかが見つけられるかな…?」
「学年が違う俺よりは見つけやすいだろ。どうだ?協力してくれるか?」
彼は私の前に立って顔を近づけてきた。
(ひぃぃ!イケメンが近い!!)
彼の顔に押されて、頷いてしまう。
「わ、わかった!わかりましたので!離れてください!」
すると彼は少し不満気な顔をして、距離を置いた。
「喜ぶやつが多いのに、変なの。お前にみたいなやつなかなか居ないよ。」
「それってどういう…?」
私が聞いても、彼は手を振って誤魔化した。
「じゃあ、協力よろしくな。」
「あ、え?あ…は、はい。」
(どうしよう!それ私ですなんて言えないんだけど!?)
さっきの五十嵐さんの微笑みが離れないまま、私は家に帰った。
私たちが手を伸ばしたのはランダムトレカ付きのチョコレート。しかもそのランダムトレカは魔法少女の…
(高校生男子が魔法少女のカード付きチョコをわざわざ買うか…?まさかコイツ、転売ヤーか!?)
魔法少女のグッズはアイドルのグッズのような感覚で集めてる人が多い。時に熱狂的なマニアには、とてつもない値段で転売できるとか…
正直、転売サイトで売られてる私のグッズの値段を見た時は恐怖を覚えたくらいだ。
(これから兄になる人が、転売ヤー…?)
何か複雑な気持ちが私の中でモヤモヤとしていると、五十嵐さんは声を荒げた。
「が、学校では秘密にしてくれ!」
「…?」
話を聞くと、どうやら五十嵐さんはただの魔法少女のファンだったらしい。確かに魔法少女は女子学生のファンが多いけど、最近は男性ファンも負けないくらいに増えてきてるしおかしくはないか…
(転売ヤーなんて疑ってごめんなさい…!)
普通の純粋なファンだったことを知り、私は心の中で謝る。
「…凛、さん?も、魔法少女、好きなんだ?」
「え?ま、まぁ…」
好きっていうか本人です。
「へー…」
彼は一つだけ商品を手に取った。私も一つ手に取る。
「…凛、さん?」
「呼び捨てで大丈夫ですよ、」
「…凛は、誰推しなの?」
「私はレモンちゃんに憧れて…」
レモンちゃんは私が魔法少女になる前からよくテレビでも見ていた、超可愛くてかっこいい人だ。
彼女は両親共にハーフのためか、生まれつき髪が金髪だ。私みたいに普通の髪色じゃないのに、周りと違うところは自分の強みだと言える彼女に惹かれて憧れそ持つようになったのだ。
「へー…あれ?これ、神奈川編だからレモンちゃんは居ないんじゃ、」
(やばい!自分のグッズも集めてます、なんて言えない!)
「あ、うん。魔法少女みんな好きだから…」
(嘘ではないしな…?)
「そうなんだ。あ、俺払うよ。」
「え!?自分で払えます…!」
私の返答を無視にお会計を済ませた五十嵐さん。
(さ、流石学校一のモテ男。侮れない…)
「あ、ありがとうございます…」
彼から商品を受け取って、そのまま一緒に帰る流れになってしまった。
(ど、どうしよう!!こんなイケメンが隣にいるって落ち着かない!)
チラリと彼の顔を覗くと、マッチ棒数本モテそうなほど長いまつ毛が目に入った。
「あ、あの…」
私はチョコの袋を開けながら彼に声をかける。
「お願いなんですけど、私が義妹ってこと学校で黙っててもらえますか?」
「…なんで?」
彼もチョコの袋を開けながら返事をした。
「その、学校一のモテ男と一緒に住んでるなんて知られたら、貴方様のファンに何されるか…」
五十嵐さんはファンクラブがあるほど学校で人気のある人だ。そもそも生徒の間で生徒会自体がアイドルグループのような扱いなのに、その中の生徒会長の妹なんて…
ハブられるくらいなら平気だけど、逆に私を通して仲良くなろうとしてくる人がいたら流石に相手にするのは辛いし…
現に一学年上の先輩で、生徒会副会長の人の妹さんが居るが毎日大変そうだ。この前なんて副会長さん宛のプレゼントを10個も持たされたとか…
(本人に渡しても受け取らないから、代わりに妹に持たせるとか怖すぎるでしょ!恋する乙女は最強って言うけど、最恐の間違いだわ!!)
「あー…確かに俺にも、すごい人数の女子が群がってくるからな。妹って立場になるだけでも大変か。」
「女子が群がる、ですか。モテる人が言うことは一味違いますね…」
生徒会は今六人のイケメンと、一人の美少女で構成されてるが、まぁ言わずとも全員モテモテだ。
中には完全にモテることを嫌がり、近づいてくる人を威圧する人もいれば、モテてることを知りながらも返って利用する人もいる。五十嵐さんはどちらかといえば後者だ。
いつでもノリで生きてるようなイメージで、まぁいわばバリバリの陽キャだな。
(そういえば学校ではもっとキラキラしてるのに、今日はテンション低いな。)
いや、まぁ急に妹ができたらこんな感じか。それとも、裏の顔ってやつか。
(裏の顔…なんか触れちゃいけない気がするんですけど。)
私は顔を振って誤魔化す。
考え直すと、五十嵐さんって静かで無口タイプのイケメンってよりも、いつでも笑顔陽キャタイプのイケメンじゃんたしか。とにかくノリで生きてるような感じだ。ちょっと意地悪いところもあるが、あくまで小悪魔的でそこが逆にモテる要素だとか…
「あ、それ…!!」
「?」
彼は私のカードに指を指す、それは私の魔法少女の姿、ミルクのカードだった。残念ながら全員写ってるシークレットや、キラキラしたレアカードではなく、ただのノーマルカードだ。
(見事に自引きしたな。)
逆に五十嵐さんの手には水青髪ロングの、魔法少女・ミントのレアカードだった。
「いいなぁ、レア…」
そう呟くと、五十嵐さんが食いつく。
「交換してくれない!?」
「え?…もしかして、五十嵐さんって、ミルク…ちゃん、推しなんですか?」
私が聞くと彼は頷く。
うん、ファンが目の前にいるってめっちゃ変な気分。
交換してあげたいとこだけど、せっかく自引きしたしな…
「じゃあ、交換の代わりに、私が義妹ってこと学校で黙っててくれますか?」
「約束する。」
「交渉成立ですね。」
(そもそもグッズ発売と同時にサンプルが家に届いてるし、別にあげてもいっか。)
あとは通学中に気をつけなきゃだけど、家から学校だいぶ離れてるし問題ないだろう。
(これで私のスクールライフは守られた…!)
さっきまでの心配事がなくなって、気分が良くなった私。しかし、私の一言ですぐに別の問題が発生した。
「ミルクちゃんを推し始めたきっかけとかってあるんですか?」
自分のファン、しかも珍しく男子高校生。好奇心から聞いてしまった質問に後悔した。
「一目惚れだよ。半年くらい前に東京で、大型デビル大量発生した時あっただろう?あの時、俺初めてテレビ以外で魔法少女を見たんだ。まだ、ミルクちゃんが天使ちゃんって呼ばれる前でさ。」
(魔法少女はちゃん呼びするのが普通といえど、イケメンにちゃん呼びされるのってむず痒い感覚だな。)
「初恋だよ…」
(ん?初恋…?)
「俺、ミルクちゃんのことが好きなんだ。アイドルにガチ恋してるみたいで、自分でもバカみたいだなって思うけど…それでも初めてなんだ。こんな感覚。」
(あれ?なんか、怪しい方向に行ってない?)
「魔法少女プロフィールの豆知識に、書いてあるんだ。ミルクちゃんはアルビノで、変身の時と髪色が同じって。」
「そ、それが?」
「俺らの学校にも、アルビノの生徒がいるはずなんだよ。丁度お前の学年で。絶対見つけ出して、俺のものにする。」
(あ、やばい終わった。)
皆が言う小悪魔笑みの意味をやっと理解した。いつも五十嵐ファンの話を聞いてもなんとも思ってなかったけど、確かにこれはずるい…
(いや、ていうかマジで終わりなんですけど。家でも絶対にカツラとカラコン外せないじゃん…)
「そ、そうですね…」
「ねえ、協力してくんない?」
「?」
彼は私の方を見る。
「全校集会の時にも探したけど、髪の毛が白い人はいなかった。うちは校則的に髪染めても良いし、もしかしたらカツラとか被ってきてる可能性あるけど…だから、探すのに協力して欲しい。」
「私なんかが見つけられるかな…?」
「学年が違う俺よりは見つけやすいだろ。どうだ?協力してくれるか?」
彼は私の前に立って顔を近づけてきた。
(ひぃぃ!イケメンが近い!!)
彼の顔に押されて、頷いてしまう。
「わ、わかった!わかりましたので!離れてください!」
すると彼は少し不満気な顔をして、距離を置いた。
「喜ぶやつが多いのに、変なの。お前にみたいなやつなかなか居ないよ。」
「それってどういう…?」
私が聞いても、彼は手を振って誤魔化した。
「じゃあ、協力よろしくな。」
「あ、え?あ…は、はい。」
(どうしよう!それ私ですなんて言えないんだけど!?)
さっきの五十嵐さんの微笑みが離れないまま、私は家に帰った。
