腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「……もしかしたら、お姉ちゃんが言ったのかもしれません。私を轢くように、と。唆したのかも」
「まぁっ! そんな恐ろしいことを? あり得ない――……」
「そうでしょうか。お姉ちゃんは湊さんと付き合う前に、弦さんと付き合っていたんですよね。湊さんと付き合いながら、実は陥れる機会を探っていたのかもしれません。でも、なかなか見つからないから、弦さんと結託して、事故を起こさせたんです」
「それこそあり得ないわ! 琴美さんになんのメリットがあるというの!?」
「ありますよ。お姉ちゃんは園子夫人に、こう言っていませんでしたか? 「妹がいなければ、すぐにでも籍を入れて、湊さんを支えたいんですが」と」

 すぐに籍を入れれば、次期院長夫人を狙った数多くの女性と同じように見られる。けれど妹想いの優しい姉を演じれば、カモフラージュできる、と姉なら思ったはずだ。
 そうやって、自分の株を上げながら、相手の懐に入り込んでいたんだから。

 園子夫人の顔を見れば、一目瞭然である。

 だったら私は、その悪評を逆手に取るまでだ。出来が悪すぎて、逆に姉の足を引っ張ってしまった挙句、邪魔者扱いされた、哀れな妹として。