腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「それもずっと、次期院長の座を狙っていただなんて……夫も、気を持たせてしまったのではないか、と反省していたわ」
「弦さんがそう思うような発言をなさっていたんですか?」
「分からないそうよ。お酒の席で、言ってしまったのかもしれない、とぼやいていたけど。そこは弦くんだって大人なのだから、分かっていると思うのだけれど」

 まぁ、親子だもんね。姉はわざとだけど、私だって友達に姉の愚痴を言って、発散させている。院長も、湊さんに思うところがあっても不思議ではなかった。

「ということは弦さんが、次期院長の座を狙うキッカケを、話さなかった、ということですか?」
「そうね。面会に行った時や警察の方が言うには、目の上のたん瘤である「湊が憎かった」「人の女を盗った上に、院長の座まで。全部あいつにやるくらいなら、破滅させてやりたかったんだ」って。正直言うと、それと栞さんを轢くことに、なんの関係があるのか、不思議だったわ」

 普通なら、部外者の私ではなく、当事者の姉を狙うべきだ。そう園子夫人も思ったのだ。つまり、尚史さんが裏にいることを知らない。
 
 そう思った瞬間、ある考えが浮かんだ。この機会を逃してはいけない、とも。すると自然と口から出ていた。