腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「そこは心配しなくても大丈夫。私の彼が誰なのか、もう忘れたの?」
「覚えているよ。芳口院長夫妻の息子さんでしょう?」
「そして次期院長。私がお強請りすれば、どうにかしてくれるわ。運が良ければ全額チャラ」

 自信満々に可愛くウィンクをするが、私は逆に不安になった。

「お姉ちゃん……まさかとは思うけど、それが目的で近づいたの?」

 確かにウチは貧しい。人様に見せられないほどではないけれど、裕福な家から比べたら恥ずかしいレベルだった。

「そうだとしたら、栞は私を軽蔑する?」
「っ!」
「妹に高校を中退させてまで看護学校に通って、その間ずっと、妹の稼いだお金で生活していたのだから、まぁ無理もないと思うけど」
「そ、そんなことは思っていないよ。ただ、秘密にされたのが……ショックだったの」

 まぁ、本当に姉が玉の輿狙いで湊さんに近づいたのなら、それはそれでまたショックだけど、軽蔑はしない。
 だって、生きるためだもの。それを正当化したくない、と言えるほど、私は子どもでもないし、いい子でもなかった。