腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

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 理由は簡単だ。
 一つ。現在の自分の状況である。

「いたたた」

 動く度に、全身に走る痛み。

「我慢しなさい。全身打撲に、左足は骨折しているのよ。当分は車椅子生活ってところね」

 無常にも言い放たれた宣告に心も折れそうになったが、姉の言葉が全てを物語っていた。けれど愚痴りたくなるのは許してほしい。
 私とて、好きで事故に遭ったわけではない。勿論、轢かれたことも含めて。

「そんなの困るよ。車椅子だなんて、どうやって仕事に行くの?」
「栞、あなた今、入院しているのよ。行けるわけがないでしょう?」
「そしたらお給料は? 入院費だってどれくらいになるのか……」

 中卒の安月給で賄えるの?

 すると姉は何がおかしいのか、クスクスと笑い出した。