腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「……私も知りたい」
「栞……」
「私にはそれを知る権利がある。犯人が捕まったことも含めて。そうだよね、尚史さん」

 どうして警察から連絡がないのか。それはきっと、このことが私の耳に入ることを恐れた尚史さんの手によって阻まれたのだ。

 姉の怒りに私も我に返ることができた。そして静かに、ゆっくりと問いかけた。勿論、怒りを滲ませながら。

「……そう、だな」

 尚史さんは観念したように、体を少しだけ離してくれた。

「俺の焚き付けに乗ったくらいだ。アイツが一ノ瀬を恨んでいるのは分かるだろ。自滅させるためには、お前を狙うのが有効的だった」

 そう言いながら尚史さんは姉を見る。

「だが、お前に何かあれば、湊が先手を打ってしまう。そしたら湊を追い込むことができない。だから栞を……一ノ瀬妹に何かあれば、姉のお前もダメージを受けて慰められるだろう? 恩も売れて、さらに離れられなくなる。湊にはそう言って納得させた」
「……それでどうやって湊さんを追い込むの?」