腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

 それから二週間後。私は無事に退院することとなった。

 けれど完治したわけではない。未だに足は包帯で固定された状態。これからは完治するまでの間、定期的に芳口病院に通う治療に変えただけだった。

 もう通院段階の患者が、いつまでもベッドを占領しているもの気が引けたのもある。岡先生との恋人関係が知れ渡ってからは、気が気ではなかったのだ。

 けれど園子夫人からは有り難いことに「栞さんを贔屓にしているのは私あって、尚史(なおふみ)くんではないのよ。琴美さんへの義理でもないのだから、遠慮しないでちょうだい」と言われ、入院が長くなっても、全ての責任は自分が取るから、と主張されてしまった。

 なんでも、岡先生がいうには、芳口病院に通う名目がなくなってしまうのがお寂しいのだとか。

 けれど私は岡先生の気持ちと計画を優先したかったため、退院することを選んだ。しかも通院は自宅からではなく、岡先生の家から。車椅子ではなく、松葉杖で、という怒涛の展開である。

 その驚きは当事者の私だけではなく、周囲も同じだった。