腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「岡先生! ここをどこだと思っているんですか!」

 姉の怒号が病室内に響いても、岡先生はどこ行く風だった。だから当然、ベッドから降りる様子もない。逆に私は、恥ずかしさでいっぱいになっていた。

「一ノ瀬こそ、ここをどこだと思っている。院内はお静かに、と師長がいつも言っているだろう」
「それをいつも破っているのがご自身だと、自覚してください!」
「俺はいつも、静かにしているが?」

 あぁ、なんとなくだけど、姉の言っている意味が理解できた。

 岡先生はただマイペースに行動しているだけで、姉や師長、といった看護師さんたちが、その行動に反応しているだけなのだ。今だってそう。

「恋人との逢瀬を大っぴらにできないお前らと違ってな」

 相手の神経を逆撫でる発言と行動をしなければ、ね。そう思った瞬間、奥にあった薄黄色のカーテンを真横の位置まで引かれた。