腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

 目には目を歯には歯を、ではないが、諸刃の剣のようにも思えてならなかった。けれど岡先生の言っていることも理解できる。

 岡先生の悪評が広まり、湊さんの尻拭いや肩代わりをしているのに、なぜか非難がそっちばかりに向けられている、というのは解せなかったからだ。

 それは(ひとえ)に、普段から湊さんの評価が高いから、できた話だった。岡先生の自業自得とも捉えることができる。

 けれど、それすらも湊さんに操作されていたとしたら?
 私が姉に『手のかかる妹』『そそっかしい妹』というレッテルを、勝手に貼られていたのと同じように。

 ずっと傍にいなかったから忘れていたが、昨日の園子夫人の前で見せていた姉の姿で思い出した。
 あぁやって私を利用して、姉は自分を周りによく見せていたのだ。素の自分を上手く隠しながら、印象を操作していた。

「そうだ。隠蔽は湊の十八番(おはこ)だからな。まさか一ノ瀬姉も、同じムジナだと思わなかったが」
「類は友を呼ぶだけではなかったってことですよ」
「だが、いいものも呼んでくれた」
「……それが私、ですか?」
「あぁ」

 岡先生の手が伸びて来て、私の髪を一房、掴んだ。愛おしそうに私を見つめ、髪にキスを落とす。