腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「少なくとも、その頻度は減ると思いませんか?」
「減ったとしても、次にやって来る問題は、その倍になっている可能性の方が高い。立場が変われば、背負っている問題も変わる。加えて院長夫人になれば、想像していなかった問題を栞に擦りつけてくることだってあるかもしれないんだぞ」
「……まるで経験者のような言い方ですね」
「現に、湊がそうだからな。友達の振りをして、俺のことは使い勝手がいい駒か何かだと思い込んでいる。今回の件がまさにそうだ。だけど今は俺にもメリットがあるからいい。でも結婚したらどうなる。さらに無理難題を押し付けられる可能性が、限りなく高いと思っている」
「だったら、引き受けなければいいのに……」

 岡先生と湊さんは別に、血縁関係でもなんでもない。わざわざ背負うことはないのだ。

 しかし、そういう問題ではなかったらしい。岡先生は深いため息を吐いた。

「それでも今の俺があるのは湊のお陰だからな。体のいい駒を傍に置くのに、湊は金を惜しまなかった」
「まさか、学費とか?」
「そうだ。まぁ俺も、医者になりたくて、湊に近づいた口だからな。お互いさまってところだろう」

 岡先生が『悪友』と言い続ける理由が何となく分かった。友と呼べないくらい、相手を利用し合っている関係だったからだ。