腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「何でそう、ズバズバ言うかな」
「それは……相手が岡先生だからだと思いますよ。丁寧な相手には丁寧に。ガサツな人にはガサツに対応しているだけですから」

 そうしないと、相手に舐められるか呑まれるか、二つに一つだからだ。早々に社会に出た、私なりの処世術だった。

 すると、なぜかここでも岡先生に笑われてしまった。そんなにおかしなことを言っただろうか。

「すまない。一ノ瀬の妹、というから、どんな奴なのかと思えば……姉に似て肝が据わっているのな」
「やめてください。あんな姉と一緒にされたくはないです」
「二人だけの姉妹って聞いていたが、仲良くないのか?」
「アレとどうやって?」

 思わず敬語が取れてしまったけれど、岡先生の態度は変わらなかった。

「それもそうか。だったら余計に気なるな。素直に引き受けた理由はなんだ? 俺が言うのもおかしい気がするが」
「別に素直に、というわけではありません。利害が一致した、というか。芳口先生との結婚が上手くいけば、姉がもう、私を利用することはないと思っただけです……」
「あの手のタイプが、結婚で手を引くと思うのか?」

 私は首を横に振った。