「湊さんじゃ、もう利益にも得にもならないから、見捨てるんだ。そっちの方がよっぽど卑怯だとは思わないの?」
「……それは、岡先生も同じでしょう? 湊さんを見捨てて、逃げるんじゃないの?」
「っ!」
「やっぱり。だからさっき、弦に加担しなかったのよね。自分は綺麗な状態で、他所の病院へ行く魂胆なんでしょう!」
なんでそれを、と思ったが、リハビリ最終日のことを思い出した。噂が今よりも湾曲していない時でさえも、芳口病院を離れようと考える看護師がいたからだ。
姉だって、似たような考えをしたのだろう。いやむしろ、誰よりもそれを考えていたはずだ。だからこそ、私を……。
「そんなこと、させないんだから。私だってもう一度、一からやり直すの」
「だから栞が必要だってか? いい加減にしろ。そもそもこんな状況にしたのは、お前だろう! お前が弦と湊に近づいて……欲を出さなければ、こんなことにはならなかったんだ」
「それを岡先生が言うの? 栞も、忘れちゃったの? 岡先生が何をしたのか」
「知っているよ。弦さんからも事情を聞いたから」
「えっ、弦から?」
その反応を見て、姉は知らないのだと確信した。伊達に二十二年間も、妹をやっていない。
「直接的な原因は、尚史さんじゃなかったの。湊さんだって。だから弦さんは湊さんの名前しか、出さなかったんだよ」
「……それじゃ、さっきの話は、本当だったってこと?」
待合室で弦さんと湊さんが言い合っていた話かな。遠かったし、お喋り好きなおばさんに捕まって、聞き取れなかったんだよね。
すると、後ろにいた尚史さんが真横に来て、私の体を引き寄せた。
「……それは、岡先生も同じでしょう? 湊さんを見捨てて、逃げるんじゃないの?」
「っ!」
「やっぱり。だからさっき、弦に加担しなかったのよね。自分は綺麗な状態で、他所の病院へ行く魂胆なんでしょう!」
なんでそれを、と思ったが、リハビリ最終日のことを思い出した。噂が今よりも湾曲していない時でさえも、芳口病院を離れようと考える看護師がいたからだ。
姉だって、似たような考えをしたのだろう。いやむしろ、誰よりもそれを考えていたはずだ。だからこそ、私を……。
「そんなこと、させないんだから。私だってもう一度、一からやり直すの」
「だから栞が必要だってか? いい加減にしろ。そもそもこんな状況にしたのは、お前だろう! お前が弦と湊に近づいて……欲を出さなければ、こんなことにはならなかったんだ」
「それを岡先生が言うの? 栞も、忘れちゃったの? 岡先生が何をしたのか」
「知っているよ。弦さんからも事情を聞いたから」
「えっ、弦から?」
その反応を見て、姉は知らないのだと確信した。伊達に二十二年間も、妹をやっていない。
「直接的な原因は、尚史さんじゃなかったの。湊さんだって。だから弦さんは湊さんの名前しか、出さなかったんだよ」
「……それじゃ、さっきの話は、本当だったってこと?」
待合室で弦さんと湊さんが言い合っていた話かな。遠かったし、お喋り好きなおばさんに捕まって、聞き取れなかったんだよね。
すると、後ろにいた尚史さんが真横に来て、私の体を引き寄せた。



