腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

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 エレベーターを降りた途端、すぐにざわめき声が聞こえてきて、改めて芳口病院の規模の大きさを思い知った。

 おそらく、来院する人たちが多いのだろう。入院患者と一般の患者とで区域が分かれているにもかかわらず、話し声の他に、名前を呼ぶ声も聞こえてきた。

 凄いと思ったのも束の間、すぐに消毒液の匂いが鼻を掠める。それは病室にいた時と変わらないらしい。一階には、出入り口という大きな扉があちらこちらにあり、常に換気している状態である。それにも関わらず匂うところが、大病院らしかった。
 壁にしみ込んだ匂いとは、そう易々と取れないものだからだ。

 しかし今の私は、そんな能天気な気分を送っている暇はなかった。姉と湊さんは会話することをやめて、黙々と移動をし始めたからだ。

 さっきの続きは……さすがにここではできないものね。とはいえ、どこに向かっているのかも分からない、というのは不気味で仕方がない。