尚史さんに連れられてやって来たのは、芳口病院の駐車場だった。リハビリに通っていた時に、何度か送ってもらったから、入ったことがある立体駐車場。停めている車の場所も、あの時と同じだった。
違うのは、今の私が松葉杖をついていないことと、尚史さんに引っ張られていることだ。
「あっ!」
なるべく急いで歩いていたつもりだったが、それでも尚史さんの足は速く、危うく転びそうになった。するとようやく、尚史さんが後ろを振り向いてくれた。
「す、すまない。弦が止めてくれているとはいえ、乱暴はできないからな。なるべく早く帰りたかったんだ」
「ううん、いいの……二人の言いつけを破った私が悪いんだから、これくらい」
好奇心に勝てなかったとはいえ、結局、迷惑をかけてしまったのだ。しかも、ちゃんと見られずに、このざまである。踏んだり蹴ったりで、俯くことしかできなかった。
「……まぁ、俺も野次馬みたいに、あの場にいたからな。完全に、栞を非難できないんだ」
「尚史さん?」
「やっぱり、気になるだろう? 弦はあの通り、手加減しない奴だから」
思わず顔を上げ、尚史さんの顔を覗き見る。
「もしかして……怒っていないの?」
「……そう見えるか? 俺と違って、栞は標的にされ易いんだ。現に、されそうになっていただろう。もう少し自覚を持て!」
「は、はい」
分かってもらえたのかな、と思っていたけど、甘い考えだった。いや、尚史さんが怒るのは当然なのだ。お姉ちゃんがどんな動きをするかなんて、分かり切っていたのに。それでも欲求に勝てなかった、私が悪い。
違うのは、今の私が松葉杖をついていないことと、尚史さんに引っ張られていることだ。
「あっ!」
なるべく急いで歩いていたつもりだったが、それでも尚史さんの足は速く、危うく転びそうになった。するとようやく、尚史さんが後ろを振り向いてくれた。
「す、すまない。弦が止めてくれているとはいえ、乱暴はできないからな。なるべく早く帰りたかったんだ」
「ううん、いいの……二人の言いつけを破った私が悪いんだから、これくらい」
好奇心に勝てなかったとはいえ、結局、迷惑をかけてしまったのだ。しかも、ちゃんと見られずに、このざまである。踏んだり蹴ったりで、俯くことしかできなかった。
「……まぁ、俺も野次馬みたいに、あの場にいたからな。完全に、栞を非難できないんだ」
「尚史さん?」
「やっぱり、気になるだろう? 弦はあの通り、手加減しない奴だから」
思わず顔を上げ、尚史さんの顔を覗き見る。
「もしかして……怒っていないの?」
「……そう見えるか? 俺と違って、栞は標的にされ易いんだ。現に、されそうになっていただろう。もう少し自覚を持て!」
「は、はい」
分かってもらえたのかな、と思っていたけど、甘い考えだった。いや、尚史さんが怒るのは当然なのだ。お姉ちゃんがどんな動きをするかなんて、分かり切っていたのに。それでも欲求に勝てなかった、私が悪い。



