腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

 結婚までの期間が長ければ長いほど、相手の気持ちが余所に向かうのではないかと焦り出し、気持ちが冷めてしまうことに、今度は苛立ちを隠せなくなる。期間が空けば、釣った魚に逃げられる可能性だってあるからだ。

 姉が釣り上げた魚は特上だ。私だって、このチャンスを無駄にしてほしくはなかった。

「それで、こうして私を外に連れ出している間に、それを済ませたい、と?」
「ダメ?」

 私に肯定以外の選択肢などあるのだろうか。姉の顔を見て、私はすぐに諦めた。

「……いいけど、私が一人でいたら怪しまれない?」
「大丈夫。そこは抜かりないから。ね、湊さん」
「あぁ。協力者を用意したから」
「きょ、協力者!?」

 けれど湊さんは、私のそんな驚きに答えてはくれず、後ろに回って車椅子を押し始めた。チンっという音と共に、エレベーターが一階に着いたのだ。