腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「それはともかく、先ほどの話ですが、私たちの目的を聞いたのはなぜですか? 弦さんには関係のない話だと思いますが」
「関係あるだろう。敵が同じなんだ。そっちの事情を知っていれば、俺の打撃もより強くなる。そっちにとっても、メリットはあるだろう?」
「それはつまり、私たちに協力してくれる、ということですか?」
「結果的にはな。だが、俺の目的はあいつらの破滅だ。示談で丸く収まった、とは思わせたくないんだ。むしろ、油断しているところを狙いたい。琴美の話だと、俺が湊の名前を出したから、随分と評判が悪くなったみたいだし。追い込むなら、今しかない。そうだろう?」

 一瞬、弦さんの姿が、初めて会った時の尚史さんと重なった。思わず、顔を横に向ける。

「間違ってはいないが……本気なんだな」
「なんだよ。それを聞くために、抜け駆けしてきたんじゃないのか?」
「それは……まぁ、そうなんだが」
「ふ〜ん」

 そうなんだ、そうだったんだ、と続けたかったが、言葉を呑んだ。今は尚史さんを、追求する場面ではないからだ。

 まぁ、帰ったら聞くけどね。