腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「ふふふっ」
「っ!」

 そんな彼女だからだろうか。わざとチラッと私の方を見て、あざ笑ってきた。

 今はあんたたちに構っている暇はないっていうのに……立場が悪くなると、すかさず攻撃してくるんだから。

 六年前もそうだ。両親を相次いで亡くなった時、急に経済的立場が弱くなったら、それまで仲良くしていた友人たちは、慰めてくれるどころか距離を置かれる始末。
 だけどそれは、まだマシな方だった。身内であるはずの親戚は、両親が残してくれたお金を目当てに、いい顔をしているのが見え見えだったし、他の親戚は同情するだけで助けてもくれない。

 栞を中退させ、自分だけ看護学校に入学したのは、確かに悪いとは思っている。だけどあの時は、それが最善の方法だったのだ。そうしなければ、親戚に食いものにされ、今よりも辛い人生を送っていたに違いない。

 生きるためにはなんでも利用しないと。そうしないと自分らしく生きられない。同情されるのなら、それさえも利用しよう。

 何もしてくれないんだから、何をしてもいいじゃない。

「そうよ。何をしたっていいじゃない。今の私は被害者だもの」

 悪い噂を流され、湊さんと結婚しても、もうメリットを感じない。だったら、この状況を利用すればいいのよ。六年前の時のように、同情を。