腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「な、何?」
「どこか怪我したんじゃないか? 警察官から聞いたってことは、栞と接触しなければならないことが起きたってことだろう?」

 あ、これってヤバいかも。

 そう思っていたら、尚史さんに肩を掴まれた。と同時に、ソファーに体が沈み……。

「い、痛っ」

 思わず声が出た。咄嗟に口元を手で隠したが、後の祭り。そーっと尚史さんの方を見ると、案の定、険しい顔をしていた。

「やっぱり……どこだ?」
「え、あ、別に大したところじゃ——……」
「肩か? それとも背中……いや、尻」
「あっ、ちょっ、やめて!」

 尚史さんの手が、肩から背中へ。さらに体を引き寄せられ、お尻へと伸びる。本人は触診しているつもりなんだろうけれど、思わず体を捩った。

「……尻か」
「っ! 尚史さんが触るからでしょう!」
「だが、肩か背中だったら、こんな体勢はとれないだろう?」
「うっ……し、尻餅をついたの。だから、あまり触らないで。恥ずかしいから」

 痛みよりも、ずっと触れられていることに耐えきれず、尚史さんの肩に顔を埋めた。いくら恋人でも、ううん、恋人だからこそ、だ。感じざるを得ない。
 無意識なのか、尚史さんも手を止めないのもいけなかった。

 突然、強く掴まれ、「あっ!」と声が出たのと同時に体が弓なりに仰け反る。すると、ようやく尚史さんも気がついたのか、「す、すまない」と手を離してくれた。

「これじゃ、湊と何も変わらないな」

 ボソッという尚史さんの声に、一層のこと、襲ってくれればいいのに、と思ってしまった。