腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「……怒ったか?」
「まさかっ! さっき尚史さんが思い出させてくれたんじゃない。私が言ったって……それで、成功したの?」

 尚史さんが血相を変えて帰ってきた、ということは、そういうこと、なんだよね?

「いや、警察から連絡が来て……慌てて帰って来たから分からない。とにかく栞の様子が気になって……」
「自分の策が無事に嵌ったか、確認しないなんて、策士失格だよ?」
「……俺は策士じゃない」
「でも策を巡らせて、罠を仕掛けたんだから同じだよ」

 ということは、まだ結果は分からないんだ。折角、体を張ったのに、ちょっと残念だな。

「そういえば……栞が湊に襲われたって、病院を出る時に聞いたんだが……警察からは接触しただけだと聞いていたから、それで慌てて」
「お、襲われた!? 大袈裟だよ。ただ肩を掴まれただけだし」

 尻餅は、私が後退ったのが原因で、湊さんは直接関係があるわけじゃない。

「そもそも、松葉杖をついている人間の肩を掴む行為は危険なんだ。バランスが悪い上、細かい動きもできない。そんな相手の肩を掴めば、襲っているようにも、まぁ見えるだろう。湊も医者だ。そんな危険な行為を……」

 すると尚史さんは顎に手を当てて、私をマジマジと見てきた。