腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「栞?」
「……警察官から聞いたの。尚史さんが私の警護……みたいなことを頼んだって。それなのに私……普通に外に出て……ごめんなさい」
「どうして謝るんだ? 今回のことはむしろ、俺の方が謝るべきなのに」
「え?」

 思わず顔を上げると、尚史さんは少しだけ困った表情をした。

「昨日の件で、一ノ瀬姉か湊のどっちかが動くと思ったんだ」
「うん。だから、警察官に頼んだんでしょう?」
「……栞はちょっと、俺のこと信用し過ぎじゃないか? 普通は警察に頼む前に、気をつけるよう栞に警告するか、外出を控えるように言うのが先だろう?」
「あっ、そうだね」

 まったく気づかなかった。自分の不注意にばかり目がいっていたからだろう。

 さらに気落ちして顔を下げると、尚史さんは私を横抱きにした。ドアを閉めて、リビングのソファーへと私を座らせる。それもいつものように、隣へと。
 尚史さんの仕草や様子を見る限り、尻餅をついたことはまだ知られていないように思えた。