「栞っ!」
二十二時を回った頃。玄関から私を呼ぶ、尚史さんの大きな声が聞こえてきた。いつもよりも早い時間の帰宅に、私も気持ちが急いでしまったのだろう。左足を庇いながら、リビングを出ようとした。その瞬間、私がドアノブを掴む前に、先に開いてしまい、ぶつかりそうになる。
「危ないっ!」
咄嗟に仰け反ってドアを回避するも、また後ろに倒れるかもしれない、と目を瞑った。が、いつまで経っても痛みがやってこない。代わりに感じたのは、温かさと鼓動だった。腕をグイッと引かれ、尚史さんの胸に顔が当たる。
「間に、合ったぁ……」
髪に尚史さんの息がかかり、少しだけくすぐったさを感じる。だけどそれ以上に感じる尚史さんの鼓動に安堵した。いや、逆にそのせいで、申し訳なさと羞恥心でいっぱいになった。
「ご、ごめんなさい。私、尚史さんと話したいことがいっぱいあって、つい考えなしに飛び出しちゃって……」
「いや、俺も慌てていたから……だけど、本当に無事で良かった〜」
尚史さんのらしくない声を聞き、さらに罪悪感が募る。私は自分のことばかりで、尚史さんのように周りを見ることができなかったからだ。
それは昼間の出来事だけではない。今だってそうだ。何一つ解決していないのに、自分勝手に動いて迷惑をかけて……なのに尚史さんは私を抱きしめ、優しく髪を撫でてくれる。だから私は、居た堪れない気持ちのまま尚史さんの胸に顔を埋めた。
二十二時を回った頃。玄関から私を呼ぶ、尚史さんの大きな声が聞こえてきた。いつもよりも早い時間の帰宅に、私も気持ちが急いでしまったのだろう。左足を庇いながら、リビングを出ようとした。その瞬間、私がドアノブを掴む前に、先に開いてしまい、ぶつかりそうになる。
「危ないっ!」
咄嗟に仰け反ってドアを回避するも、また後ろに倒れるかもしれない、と目を瞑った。が、いつまで経っても痛みがやってこない。代わりに感じたのは、温かさと鼓動だった。腕をグイッと引かれ、尚史さんの胸に顔が当たる。
「間に、合ったぁ……」
髪に尚史さんの息がかかり、少しだけくすぐったさを感じる。だけどそれ以上に感じる尚史さんの鼓動に安堵した。いや、逆にそのせいで、申し訳なさと羞恥心でいっぱいになった。
「ご、ごめんなさい。私、尚史さんと話したいことがいっぱいあって、つい考えなしに飛び出しちゃって……」
「いや、俺も慌てていたから……だけど、本当に無事で良かった〜」
尚史さんのらしくない声を聞き、さらに罪悪感が募る。私は自分のことばかりで、尚史さんのように周りを見ることができなかったからだ。
それは昼間の出来事だけではない。今だってそうだ。何一つ解決していないのに、自分勝手に動いて迷惑をかけて……なのに尚史さんは私を抱きしめ、優しく髪を撫でてくれる。だから私は、居た堪れない気持ちのまま尚史さんの胸に顔を埋めた。



