「今の話は、最終手段だ。まだどうなるか、俺も予想できない。だが、そういう道もある、と思えば気が楽だろう?」
「そ、そうだね」
「まぁ、引っ越しは間違いなくする予定だから、それは心しておいてくれ」
「えっ?」
「そこは驚かれると傷つくんだが……」
苦笑しながら、尚史さんは私の隣に座った。体が自然と、尚史さんの方へ傾く。
「栞が言ったんだぞ。芳口病院を辞めて、他の病院に移ってほしいって」
「あっ……」
「だからどの道、引っ越しは決定事項なんだよ。気づいていないと思うが、今の状態でも、会社に復帰はしようと思えばできるんだ。だけど仕事復帰後、すぐに引っ越しで、辞めざるを得ない可能性が出てきたから、許可しなかっただけで」
言われて見れば、事故から一カ月半。退院してリハビリに通ってはいるが、尚史さんの許可さえ下りれば、いつでも仕事復帰できるのだ。
松葉杖をつきながら、学校や会社に行く人たちがいるのだから、私だって……。
それにマンションでの暮らしも、尚史さんが仕事に行っている間、一人で外に出られるまで回復しているのだ。けれど一向に許可が出ないのは、何かしらあるのだと思っていた。
「それなら、先に退職届を出すよ。どの道、引き継ぎとか諸々、会社に迷惑をかけるわけだし。といっても、今、休職中だから、引き継ぐものはないかもだけど。でも、いつでも引っ越せるようにしておいた方が、尚史さんも気が楽でしょう?」
「あぁ、そうだな。足の完治までに決着をつけたい、と思っていたから、余計に」
そっか。そうだよね。足が完治したら、会社を休んでいる理由がなくなる。さらにすぐ辞めるなんて、言い出せる雰囲気もなくなってしまうだろう。
ちょうど時間を持て余していたところだし、その時間を退職手続きに使った方が、有意義な気がした。
「そ、そうだね」
「まぁ、引っ越しは間違いなくする予定だから、それは心しておいてくれ」
「えっ?」
「そこは驚かれると傷つくんだが……」
苦笑しながら、尚史さんは私の隣に座った。体が自然と、尚史さんの方へ傾く。
「栞が言ったんだぞ。芳口病院を辞めて、他の病院に移ってほしいって」
「あっ……」
「だからどの道、引っ越しは決定事項なんだよ。気づいていないと思うが、今の状態でも、会社に復帰はしようと思えばできるんだ。だけど仕事復帰後、すぐに引っ越しで、辞めざるを得ない可能性が出てきたから、許可しなかっただけで」
言われて見れば、事故から一カ月半。退院してリハビリに通ってはいるが、尚史さんの許可さえ下りれば、いつでも仕事復帰できるのだ。
松葉杖をつきながら、学校や会社に行く人たちがいるのだから、私だって……。
それにマンションでの暮らしも、尚史さんが仕事に行っている間、一人で外に出られるまで回復しているのだ。けれど一向に許可が出ないのは、何かしらあるのだと思っていた。
「それなら、先に退職届を出すよ。どの道、引き継ぎとか諸々、会社に迷惑をかけるわけだし。といっても、今、休職中だから、引き継ぐものはないかもだけど。でも、いつでも引っ越せるようにしておいた方が、尚史さんも気が楽でしょう?」
「あぁ、そうだな。足の完治までに決着をつけたい、と思っていたから、余計に」
そっか。そうだよね。足が完治したら、会社を休んでいる理由がなくなる。さらにすぐ辞めるなんて、言い出せる雰囲気もなくなってしまうだろう。
ちょうど時間を持て余していたところだし、その時間を退職手続きに使った方が、有意義な気がした。



