腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

 ここまでいえば、何を私が求めているのか、弦さんには伝わっただろう。女性問題で事故を引き起こした、とはいえ、弦さんも医者だ。バカじゃない。

「なるほど。なんで俺に会いに来たのか、と思ったら、そういう理由か」
「ダメですか? 悪くない話だとは思いますが」
「そうだな。いいだろう。俺も前科持ちになりたくないからな」

 前科という言葉に、弦さんの本音を聞いたような気がした。だけどこれで、弦さんの件は大丈夫だろう。尚史さんの名前を出したら、交渉は決裂するのだから。そうなれば、困るのは弦さんの方である。

 私は安堵して、部屋から出ていった。