腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「琴美も同じことを言っていたな」
「湊さんが原因ではない、と証言してほしい、とでも言いましたか?」
「おそらく、そんな意味が込められていたんだろう。だけど俺は取り消す気はない」
「それは、姉が今も湊さんの婚約者だからですか?」
「あいつらのせいで、俺はこうなったんだ。道連れにしてやりてぇんだよ」

 悔しそうに歯を食いしばる弦さん。だけど私の気持ちは揺れ動かなかった。弦さんの目的が、ずっと湊さんのみに注がれていたからだ。

 これなら尚史さんのことを話す可能性は低いだろう。それでも傍にいる警察官に悟られないように、あえて私の本音を口にした。

「私は姉が湊さんと別れようが、どんな立場に追いやられようが、興味はありません。それは、私が尚史さんとお付き合いさせてもらっているからです」
「尚史と?」
「はい。だから私たちの邪魔をしなければ、示談にしても構いません」