腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「真正面から見ると、琴美にそっくりなんだな」

 むしろ不快だと思った。なぜなら姉を知る者は、だいたい次の言葉を付け足すからだ。

「だけど、琴美の方が美人だ」
「……私の方が、顔が落ちることはよく知っています。だから私に配慮する必要はありません。姉にまだ、気があるのなら、仕方がないですが」
「琴美の言う通り、素直じゃないんだな。別に琴美をたてたわけじゃない。栞……さん、でいいか?」
「呼び捨てで構いません。姉を呼び捨てにしているのに、私にさん付けは変ですから。けれど私は弦さん、と呼ばせてもらいます」
「よく分からないが、そっちがそれでいいなら、このままの口調と呼び捨てで話すことにするよ」

 そういえば、最初から敬語ではなかったことに気がついた。尚史さんから弦さんについて聞いていたからだろうか。あまり違和感がなかった。

「えっと、今でも琴美に気があるのか、だったっけか。本音を言うと分からない」
「……自分の感情なのに、ですか?」
「知っていると思うが、今、差し入れや俺の様子を見に来ているのは、琴美だけだ。両親は勘当同然に会いに来ないし、院長夫妻は……逆に顔を出せない、と聞いた」
「弦さんが湊さんの名前を出したから、と聞きました」

 すると、シレっとした表情をした弦さんが一変した。