腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

 結局のところ、尚史さんはご褒美がほしかったらしい。もしくは、協力するための報酬が。
 それならそうと言ってくれれば、私だって……私だって? む、無理だよ。積極的に尚史さんに、だなんて。

「今まで誰かと付き合ったことがなかったから、どうしたらいいのか分からないよ」

 翌日、わだかまりが消えたせいか、帰宅すると、私にべったりとくっついてくる尚史さん。私を後ろから抱きしめたまま、ソファーに座るから、思わずそんな感想が口から溢れた。

「無理に何かしようとしなくてもいい。足もまだ完治していないんだから。逆にされると、本当に我慢できなくなるぞ」
「……もしもそうなったら、どうなるの?」
「考えたくもないが、まず完治寸前だった足が悪化し、その原因が俺にあると、誰もが思うだろう。そうなったら……職を失うかもしれない」

 過程を聞いたつもりでいたんだけど、まさかの結果の方を言われて困惑した。しかも職を失う、とか。