腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

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 そんな俺の心配をフォローしてくれるのが、院長夫人だった。しかし、これが思った以上の食わせ者。

 『近くのお店にいるわね』とだけメッセージを入れ、店名の記載はなし。

「折角、湊に仕事を押しつけてこれたってのに、今度は母親の方かよ」

 しかも院長夫人には、ある相談をされていた。栞の転院だ。手術は終え、あとはリハビリだけなら、受け入れ先の病院も嫌がらないだろう、ということだった。
 それも他ではない、芳口病院の院長夫人の頼みだ。向こうの病院も、無下にはできないだろう。

 とはいえ、栞を抜きにして、勝手に進めるわけにはいかない。本人の意思を尊重するべきだと、俺は院長夫人に進言したのだ。

 俺の本音は、院長夫人と同じく、転院した方がいいと思っている。だが、別の病院に行けば、栞の担当医という立場を失う。

「すでに恋人なのに、何を弱気になっているんだろうな」

 それでも不安なのだ。今もこうして、栞のいる店を探し回るほどに。

 芳口病院でリハビリをしても、栞にとってはあまりメリットがない。来ない方がいいと思うのに、転院させたくない、という矛盾。

「決めるのは……栞だ」

 俺はただ、それを尊重し、応援するだけだ。それしか……できないのだから。