腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「ごめんなさいね。少し長めのお話をしたくて、尚史くんに遅く来てもらうようにしたの」
「そう言ってもらえれば、俺も調整して来ますよ。見当をつけた場所が、悉く外れて、どれだけ焦ったことか」
「お互い、スマホを持っているのだから、連絡できるでしょうに」
「あっ」

 どうやら、スマホに気づかないくらい焦ってくれていたらしい。でも、なんで?

「……とにかく、栞のリハビリは終わったわけでありません。お話なら、次回にしてください」
「そうね。だけど、転院の話は断れてしまったから、安心していいわよ」
「っ!」

 今度は尚史さんへと視線を向ける。すると、罰の悪そうな顔をした挙げ句、目を逸らされてしまった。

 これまでの尚史さんの考えからすると、園子夫人と同じ、転院を望むと思ったのに……私と同じ考えになった? それとも……。

 尚史さんの車に乗り、マンションに着くまで、私はずっとその疑問の答えを得られず、ぐるぐると思考を巡らせることになった。