腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「探しましたよ」

 息を切らした尚史さんが、私と園子夫人のいるテーブルにやって来た。

「あらっ、意外と早く見つかったのね」
「えっ?」
「店名もなく、ただ近くのお店にいるわね、だけで……芳口病院の周りに、どれだけお店があると思っているんですか。それも少し離れた場所にって」

 確かに、芳口病院の周りにはたくさんのお店がある。それは芳口病院が大病院だからだ。お見舞いに来る人や手土産を忘れた人。受診はほぼ予約制か、紹介がないという患者さんばかりだと聞くから、終わった後にお茶したい、という人が多いことも理由だった。

 あとは、私と園子夫人のように、病院関係者が外で話すための場、という意味もある。だから、飲食店の他に、小休憩するようなカフェも多いのだ。

 けれど「早く」とはどういうことなのだろうか。私が園子夫人に視線を移すと、いたずらがバレた子どものような、お茶目な顔をされた。