腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「率先して仲裁に出る人は、なかなかいないわ。琴美さんを見ている限り、そんなお節介を焼くタイプにも見えないしね」
「どちらかというと、押しつけてくる人間です」
「ふふふっ、そうね。だから、利用されない術として、アレコレやっているんじゃないかしら」
「……でも、妹を利用しようとするのは……許せません」

 思わず本音が出てしまった。園子夫人が姉を弁護するからだ。

「栞さんから見れば、ね。でも、大病院内で生きていくためには、それくらいないとダメなのよ」
「それは……お姉ちゃんが院長夫人に相応しい、ということですか?」
「どうかしら。そこまでは言っていないわ。今、弦くんのことで、一番窮地に立たれているのが、湊なの」

 警察署で「湊が憎かった」と言っている時点で、湊さんは当事者になってしまっている。相手を犯罪に走らせるほど追い詰めた人間として。

「その湊をこれから、どんな風に支えてくれるのか。琴美さんを見定めるのは、これからだと思っているわ」
「……今は、どうしているんですか?」
「婚約者といえど、ある意味、お家騒動に近い状態になってしまったから、湊の方が無理やり距離を置こうとしている感じね。だけど琴美さんも、部外者ではないでしょう? 栞さんの姉、という立場以外にも」
「はい」
「だから、湊の判断に任せつつ、様子を見ている感じかしら」