腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

「ある時、見かねて仲裁をしたの。なんでも、母親の面倒をお姉さんが見ていたらしいんだけど、入院費は他の兄弟に請求したそうなのよ。そしたら、トラブルになって……まぁ、当然よね」
「……世話を押しつけて、さらに入院費も払わないなんて、最低な人たちですね」
「栞さんは優しいのね。だけど、そういう考えの人は多いのよ。母親の年金を自由に使っている、とか言ってね。実際は、介護や医療費で消費して、ほとんど手元に残らないことが多いのに。もっとある人は、身内に頼らず、いいところの施設に入るというのにね」
「自分のことで手一杯なのか、もしくは想像力がないのかもしれません」

 同じ立場に立ってみなければ、気持ちを汲み取れない人は多いから。

 すると、園子夫人がクスリと笑った。

「そう、まさに今の栞さんと同じよ」
「えっ……私、そんな酷い人間なんでしょうか」
「例え話が極端だっただけで、栞さんを酷い人間だなんて言っていないわ。ただ……琴美さんは、そういうトラブルを仲裁するのが上手いのよ。手慣れている、というか。頼もしくさえ見えるの」

 園子夫人の目には、おそらく面白くない、と思っている感情が、そのまま表情に出ていたのだろう。そんな私の顔とは裏腹に優しく微笑んだ。