指先で恋を伝えて


「迷惑なんかじゃない」

雅人さんの声が、少しだけ強くなる。
初めて聞く声音だった。
テーブルの上で、雅人さんの手が私の指先へ触れる。

「終わりにしたくない」

大きな手に包まれ、私は動けずに問いかけた。

「……それ、どういう意味ですか」

声が震える。
聞いてはいけないと思った。
けれど、もう止められなかった。

雅人さんは、少し驚いたように目を見開く。そして、ゆっくりと話し始めた。

「俺は……手話をしている俺たち兄妹を真っ直ぐに受け止めてくれた美織さんと、もっと一緒に居たいと思った」

 雅人さんの指先が、そっと私の指に絡んだ。

「あなたと話す時間が……好きなんだ」

その言葉が、胸の奥へゆっくりと溶けていく。
指先から伝わる熱が、どうしようもなく愛しかった。