女神イリオネスと、九ヶ月の飴玉

 空の眩しさに目を細めていると、アプロンは地上にいるイリオネスに気づきました。

 彼は黄金の竪琴を奏でる手を止めると、薔薇のような吐息をこぼし、まばゆいばかりの笑顔で手を振ってきます。

 イリオネスが慌てて「かしこまり」の姿勢でお辞儀をすると、彼はそれに応えるように、キラリと光るウインクを飛ばし、優雅な動作で投げキッスを届けました。

「……っ!!」

 その瞬間、イリオネスの背中にゾワゾワッとした強烈な悪寒が走りました。

 敬意はあっても、その過剰なサービス精神には、体が拒否反応を示してしまったのです。

(……相変わらず、直視できないほどの輝き。破壊的なまでの自己愛の強い神……。あのかたも、十二神とは)

 イリオネスは引きつった笑みのまま、逃げるようにアプロンから視線をそらしました。

 月といい、太陽といい、今日という日は一体どうなっているのでしょう。
 彼女は震える腕をさすりながら、一刻も早く、どこか「安心できる場所」

 アフディーの元へ行きたいと切に願うのでした。