あなたの小説を売ってください


「どっ…どうしよう乙葉…!出てきちゃった、一件だけ…!小説買取人って書いてある…!」


スマホを両手で握りしめ、早口に結果を報告する。

バタついた足が机に当たり上に置いていたマグカップが揺れた。


『えっ、本当!?ヤバいってスゴすぎだよ麻希!ちょ…私にも画面見せて!』


言われるがままスマホをパソコンに向ける。

乙葉はしばらく何も言わずに、そこに書かれた文字を一字一句確かめているようだった。

まさか一回目で…たったの一回目で成功するなんて。

都市伝説が存在した事への興奮からか、それとも示し合わせたかのような気味の悪さからか、私の背筋と手のひらが汗ばんだ。


『よし…じゃあここからが本題だよ麻希』


乙葉の発した言葉に私はスマホを見た。


「ちょ、ちょっと待って」


パソコンから離し、自分の顔が映るようにレンズの画角に入る。

スマホの向こうにいる乙葉は瞳をキラキラと輝かせていた。

私は眉をハの字にして問いかける。


「あの…もしかしてこのまま続けるの…?」


『もちろん!こうなったら最後まで確かめちゃおうよ!』


「で、でもやっぱり怖いよ…下手にサイトを開いたら変なウィルスとかに感染するかもしれないし」


『だけど、同じワードで検索かけて麻希だけ違う検索結果になったんだよ?これってやっぱり小説買取人のサイトで間違いないんだよ、きっと』


だからといって安心できる材料にはならない。

むしろこんなに怪しいサイト、他にないだろう。

だけど…。

乙葉はやる気みたいだし、私も気にならないわけではない。

口では否定的な意見を出してしまったけれど、正直この先をもう少し見てみたい…。

そんな好奇心が胸をくすぐっていた。