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その日の夜。
両親が寝静まった深夜1時55分。
私は二階にある自室でパソコンに体を向けていた。
その横には乙葉の姿が表示されたスマホ。
『それじゃ麻希、準備はオッケー?』
スマホの向こう、流れた乙葉の声に少し肩の力が抜ける。
やっぱりビデオ通話にしてもらって良かった。
「うん、いつでもいいよ」
まだ少し緊張した声で頷く。
乙葉がメモした小説買取人のウワサ…その手順はまずネット上で“検索”をする事だった。
「確かめるけど、検索欄に打ち込む言葉は“あなたの小説を売ってください”…でいいんだよね?」
『そうそう、深夜二時から三時までの一時間の間にそれで検索をかけるの』
「それで…検索結果が一つだけヒットしたら…」
『それが小説買取人に繋がるサイトなんだって』
聞けば聞くほど都市伝説って感じがする。
検索結果が一つだけになる事なんてあるのかな?
今は小説を個人で売ったりする場所やそういう事業も多くありそうだし…。
それを今から一時間も試すなんて途方がないような気がしてきた。
事前に用意していたカフェオレ入りのマグカップに口をつける。
甘くてほろ苦い味にじんわりと体が温まった。
『あっ…二時になったよ、やろう!』
「う…うん」
私はマウスに手を伸ばして検索エンジンを開いた。



