Dying music 〜音楽を染め上げろ 高2編~








は?









思考が一瞬止まった。どういうつもりだ。 これはコードにかかった依頼だろ。 どうして僕を巻き込む?


「お前は出たいのか?」


師匠がこちらを見る。 いや急に言われても。Ba-Baruの説明を聞いたばかりで頭が追いついていないんだ。


「でも、これはコードに対してのステージ依頼なんですよね?それだったら―」

「出たいのか、出たくないのか聞いている。」





っ……。





真の実力者が集う場所。

未知のステージ。

こんな機会、滅多にない。






「―出てみたいです。」




自分でも驚くほどはっきりと言葉が出た。


「経験も積みたいし、もっと外を知らないといけない。…今の自分がどこまで通用するのか試してみたい。」


1年前のバトルで痛感した。 「自分はまだまだだ」と。殻に閉じこもっていたら、何も変わらない。 一か所にとどまっているだけじゃ成長できないし自己満足で終わってしまう。


「もう一度言うが、あそこは本当の実力者しか立たない。お遊びのステージじゃねぇ。それでも出るって決めたんならしっかり準備して、客に一泡ふかせるくらいのクオリティーでいけ。」


師匠の言葉は厳しいけれど、背中を押す力があった。

…叩かれる覚悟ならできている。


残りの業務を師匠に任せ、僕とコードは店を出た。


「どうして僕を誘ったんですか?」


歩きながら聞く。 何度でも言うが、これはコードがもぎ取ったチャンスだ。 一人で出たほうが注目度も上がる。


「前から思ってたんだけど、俺とCyanって声の相性がいいと思うんだよね。最初はもちろん個人で出るつもりだったよ。でも、2人でユニットって形なら客はどう評価するのか気になった。」


確かに、最近は2人で歌う機会が増えた。 月に一度あるかどうかの頻度だけれど。


「お前とどこまでいけるのか知りたくなってさ。」

「…何それ」


くさいセリフにそっけなく返す。



コードとどこまでいけるのか――



考えたこともなかった。




歌い手の活動も、店での活動も互いにソロだからな。

でも、誘われたからには本気でやる。

最大限の準備をして、必ず結果を残す。

夜の街を歩きながら、そんな決意が静かに固まっていった。