婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

 彼女はまるで小さな小動物のようでとても愛らしく、身体は虚弱な体質を持っているらしい。

 そんなデイジーに貴女の場所はここではないのよという正当なことを訴えるだけで、私が何故か悪者になってしまう事は目に見えていた。

 ええ。理不尽だわ。こんな三角関係は、私にとっては、とても理不尽に思える。

 けれど、セシルにはデイジーが大事に思えていて、私は単なる親に決められた婚約者という位置づけでしかない。

 ……おそらくは、結婚式を挙げたとしても私とは仮面夫婦で、貴族の血を持たないというデイジーと共に離れで暮らすのかもしれない。

 きっと私はセシルとデイジーの子を、クレイヴン公爵家の血を繋ぐ跡取り……自分の子として育てることになるのだ。

 それはそれで良いと思うくらいには、私も疲れてきた。

 生まれ持った性格なのか、常に無言で無表情なセシル。その隣には、天使のような幼馴染デイジー。距離を取って離れている私婚約者アイリーン。

 私だって貴族の娘、リンスコット伯爵で当主である父が決めた政略結婚に、逆らえるはずもない。

 けれど、この状況には……もう本当に、うんざりだわ。