婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

 当の本人セシルに認められ、隣で愛らしく振る舞うデイジーは、彼を取り巻く皆から支持されている。身体も弱く儚い雰囲気。彼女を批難すればこちらが悪者になってしまうだろう。

 そんな二人を見ながら、私は心の中でまたひとつ諦める。セシルは何をどうしたって私のことを、少しも尊重しようともしない。

 貴族として婚約者の家が主催するお茶会を欠席するわけにもいかずに、義務としてただここに居るだけだけれど、彼の振るまいはとても許せるようなことでもなかった。

 セシルは背が高く姿が良い、少し長めの前髪も素敵な黒目黒髪の貴公子だ。その隣に居るデイジーはストロベリーブロンドの髪はふわふわで、綺麗な青色の瞳は海を映した宝石のよう。

 まるで、物語の主人公のようにお似合いの二人。

 対して私は茶色の髪に同色の瞳、この国では良く居る色合い……と言ってはなんなのだけど、幼い頃から容姿が良いと褒められたこともあまりない。

 本来ならば、セシルの隣に居るのは私だ……そう心の中では思うのに、あたかも自分がセシルの恋人や婚約者のように振る舞うデイジーに強く言うことは出来なかった。