婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

 魔物ティアニーがこの方法を選んだことからわかるとおり、セシルは婚約者である私を愛している。

 愛しているがゆえに選ばれて、私も傷つき彼が一番に傷つく方法を取らされていたのだ。

「……魔物ティアニー、貴女の様子は、あまりにもおかしかったわよ。セシルは私に何も言っていないし、家族たちだってそうよ。私が調べ物をするという自由を与えてくれて、ありがとう……」

 私はセシルと魔物ティアニーの契約の『鍵』だ。

 魔物ティアニーはあまりに力が強く、建国の際に犠牲になることを選んだクレイヴン公爵家の当主に取り憑いていた。

 二十歳になれば彼らは契約通りに大人しくなるけれど、それまでは当主となる人物の苦しみや悲しみを餌にすることが許されている。

 けれど、特殊な契約条件で『鍵』となる人物にそれを知られて、あの言葉を使われれば、魔物ティアニーはこれから眠るしかないのだ。

 今から、百年ほど。

「ぐぐぐぐぐ……なんということだ。もう少し……もう少し、楽しむ時間はあったというのに……」

 魔物ティアニーの身体は地中へと落ち、私はその様子をじっと見て居た。