婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

 あんなにも辛かった出来事の中、まさか、私よりもセシルが辛い思いをしていたなんて、まさか信じられなくて。

 こんなことが、まさか、今ここで知れてしまうなんて。

「ええ。おそらくは、私たちが気が付いたことで、合っているようですね……そして、ここを見てください。アイリーン様」

「魔物を撃退する方法……ですって?! まあ、どうして今までこれを使わなかったの?」

「良くお読みになってください。おそらくは、この条件に合うのは……アイリーン様だけです」

 冷静な口調で言ったエリンが指さした場所を何度か読み、私は両手をぐっと握りしめた。


◇◆◇


「……あら。アイリーン様。どうなさったの?」

 クレイヴン公爵邸の庭園に居たデイジーは私を見て微笑みかけ、彼女を睨み付けていることに驚いたようだった。

 ……そうでしょうね。私は貴女のことを、ただの人だと思っていたから、とっても怖かったの。

 大好きな婚約者を愛する人を取られてしまう……そう思って、目の前の女性のことを、とてもおそろしい存在に思えていた。

 けれど、今は違うわ……私には、自分にならどうにか出来る魔物でしかない。