婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

 優しく言ったエリンが傷ついた私を気遣って持ち上げてくれたことに気が付いたけれど、その心遣いが嬉しかった。

「それに、アイリーン様が婚約解消を申し入れられた時に、セシル様が涙したというのも気になっております。愛人を囲う男性だというのに、どうして婚約者に詰め寄られたからと、涙を?」

「……そうよね。私もそれは、気になっているわ。だって……」

 セシルが真にデイジーを愛しているとしたら、あんな反応をするかしら? 私は昨日から、それをずっと考えていた。

 何かがおかしい。私が考えていたものとは、違うのかもしれない。

「ええ。アイリーン様。どうか、お任せください。私が色々と、調べてみせますわ」

 エリンはそう言って私へ片目を瞑った。

 そして、その次の日の家庭教師の時間、エリンはメイドたちが下がったのを見計らって私へと微笑んだ。

「ええ。調べましたわ。お嬢様」

「まあ! もう? すごいわ。エリン」

 何の伝手もない私には到底出来ないことを、エリンは一日でやってのけてくれたらしい。

 一人で生きていける女性は、このような行動力のある人でしかあり得ないと、私は理解したのだ。