婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

「セシル様の周囲もその女性を受け入れていて、クレイヴン公爵家でのお茶会でも、そのような不埒な振る舞いを? もちろん家長であるクレイヴン公爵や公爵夫人は預かり知らぬことだとは思いますが、私に言わせると周囲もおかしいと思います。何か……私たちには想像のつかぬような事情があって、その女性を持ち上げているように思えてならないのです」

 エリンは顎に手を当てて、そう言った。私は彼女の言い分を聞いて、確かにそれはそうかもしれないと頷いた。

 私はセシルの婚約者だ。

 それなのに、あのデイジーが優先されていても、周囲から許される状況とは何なのかしら。

 あくまで私は……他の誰かがそんな状況にあったなら、眉を顰めて軽蔑してしまうわね。一緒になって面白がるなど……とても考えられない。

「アイリーン様。私も家庭教師として働き数年。いろいろと伝手を持っておりますわ。ええ。だからこそ、このような良い環境で、素晴らしいお嬢様の家庭教師が、出来ているわけですけれども」

「まあ……ふふふ。エリン。ありがとう」