後ろから男性の声が聞こえる
私は咄嗟に振り返ると軍服姿の男性が数人立っていた。
見た事のない景色、初めて見た軍服、頭が真っ白になる。
....ここ、どこ?
私は必死に辺りを見渡した。
前斗くんー!!
嫌な予感が胸を締め付ける。
前斗くんー!
ーー
俺はさっきまであいつと保健室にいたよな...?
周りを見渡すと、もんぺ、軍服、見た事ない景色、意味わかんねぇ
「おい、前斗」
聞いた事のない声、咄嗟に振り返る。
....こいつ誰だよ...なんで俺の名前知ってんの
「なに、ぼーっとしてたんだよ、そろそろお前の番が来るから挨拶してきたらどうだよ」
....俺の番?何言ってんだよ
「お前もうすぐ特攻命令下るんだろ?俺たちもすぐ行くからなぁ、どっちが派手に敵艦にぶちぬけるか勝負だな」
その瞬間、遠くから聞き覚えのある声で俺の名前を呼んでいるのが聞こえたーーー
俺は咄嗟に声のする方に走ると、そこにはもんぺ姿のあいつがいた。
「おい!なんでお前がいるんだよ」
「なんでって...わからないです。目が覚めたらここだったんです....前斗くんだって軍服姿でなんでここにいるんですか」
....俺が軍服?
視線を下ろした。
ーーー
私だけかと思った...安心した
でも、なんで軍服なの....?
本当に意味がわからなかった。
その時
「前斗ー、あれ?彼女?」
もう1人の軍服姿の男性が話しかけた。
「あ、いや....違う。」
戸惑いながら答えた。
こんな前斗くん初めて見た。いつもと雰囲気も違う。
「まぁ少し息抜きして来いよ、いつ最後になるか
わからないからな」
「...戻るって、どこに?」
「兵舎だよ、息抜きしねぇともっとバカになんぞ、また後でな」
男性たちは私たちと逆方向に歩いて行った。
私たちは街を歩きながらタイムスリップの事を話し合った。
「私は、ベットで目を瞑った後飛行機のエンジン音と学校のチャイムがなった後でした..でも飛行機の音がいつもより怖くて...ここは本当に夢じゃないんでしょうか」
初めて生きる時代、私はそれが不安だった。
「夢じゃないって事は、俺たちの前世なのかもしれねぇな」
そう言って私に初めて笑ってくれた。
..こんな笑顔するんだ、でも、初めて見るはずなのにどこか懐かしいような感じがした。
「怖くないんですか?」
「何考えても変わらねぇしな、どうせなら
敵艦にぶち当たってやる」
...私にはわかった、怖くないわけない。
いつもの彼の表情じゃなかった
私は、今さっきの''いつ最後になるかわからないからな''これは彼がもうすぐ特攻するからだったんだ。そう思った。
彼に1945年の歴史をほんの少しだけ聞いた。
ヤンキーのくせに頭は良いんだ、、私は初めて前斗くん事を知った。
「あれ、なんですか?たくさん人が並んでますけど、くじ引きかなにかですか?」
私が指差した先は、子供や大人たくさん並んでいる場所だった。
「配給所だよ、配給切符と交換で食べ物がもらえんだよ」
その瞬間、私のお腹が鳴った、かなり大きな音だったから前斗くんにも聞こえてると思って私は顔が赤くなった。
「ちょっと待ってろ」
彼はそう言って配給所に並んで、しばらくして切符と交換した後私におにぎりを差し出した。
私は遠慮しなかった、久しぶりのお米、涙をグッと堪えて食べた。
胃が小さくなっていたのか私はおにぎり半分でお腹が膨れた。
「....ありがとうございます。私の残りでよければどうぞ....」
彼は私と反対側に顔を逸らし耳が赤くなってるような気がした。
「....いらねぇよ、お前が持ってろ」
私はなぜか断ることができなかった。
その時、
「お母さん、お腹すいたよ」
小さな女の子の声が聞こえて、思わず視線をその子に向けた。
あんな小さな子が頑張って生きてるんだ..
私なんてちっぽけ、だと思った。
前斗くんからのおにぎり、とても嬉しかった。でも、お米を食べれない辛さを知ってる...
「これ、私の食べた後で良いならどうぞ」
私は片手に持ってたおにぎりを女の子に渡した。
「お姉ちゃん、ありがとう」
目がキラキラしてすぐにかぶりついていた。
かわいくて仕方なかった
私は咄嗟に女の子の頭を撫でてしまった。
「よかったのかよ」
後ろから彼の声が聞こえた
「はい、大丈夫です、前斗くんがくれたおにぎりのおかげで1人の女の子が救われましたね」
私は前斗くんの顔を見上げながら笑った
彼は一瞬だけ目を逸らした後
私の頭をくしゃっと撫でてはっとしたようにすぐ離した
「.....わりぃ」
....今の、なに?好きじゃないのに心臓がうるさい。私の心臓おかしくなったんじゃないの...
「飼い猫に似てた」
....猫?いや今のは猫を見る目じゃなかった
もしかして私のことを...いや、ありえない
その時、後ろからチャリンと鈴の音がした
「あぶねぇ」
彼が胸に私を引き付けた。彼の心臓の音が聞こえるくらい近かった。
「どこ見て突っ立ってんだよ、ほんとお前俺が助けてばっかだな、俺がいねぇと何もできねぇのかよ」
彼は少し焦ったような顔で言った。
「ほら、いくぞ」
優しいのか怖いのかわからない。でも私はなぜか嬉しかった。
一年前の私だったら、前斗くんが隣にいること不思議に思ってなかったはず。でも今手が届かない、だから彼が言う言葉1つ1つが恥ずかしい。
そんな気持ちになるーー
配給所を離れて私たちは肩を並べて歩く。
いつも歩くの早いのに私のペースに合わせてくれる。
好きになってしまいそう。
でも、多分辛いから好きになりたくない。
私は視線を彼の横顔に向けた。
近くで見た事なかったから気づかなかった。
肩幅が広い。男らしい...軍服着てたらものすごく目立った。
....かっこいい。
もし、本当にこれが前世だったら、私は彼と繋がれてたのかな。
現代でも同じだったら私は好きになっても良かったのかな。
その時
小学生ぐらいの男の子が、走ってきて
彼の目の前で立ち止まった。
「ねぇ、お兄ちゃん軍人さんなの?」
「かっけぇ!俺も将来お兄ちゃんみたいな人になりたい!」
目が前斗に向けてキラキラして、子供らしくぴょんぴょん跳ねていた。
「なれるよ。お前なら俺以上になれるよ」
彼は子供の目線に合わせてしゃがんだ。
「お兄ちゃん、飛行機乗るの?俺も将来飛行機のりたいんだ!」
「お前が飛行機乗る時はもっとかっこいいのになれるよ」
「ほんとか!?」
「あぁ、ほんとだよ」
いつも学校では、タバコの匂いと顔に傷ばかり作ってる彼しか見た事なかった。
本当は優しくてすごく思いやりのある人で、たまに子供みたいに笑う。
そんな彼に思わず見惚れてしまった。
まだ、彼の事を知りたい。
みんなが知らない彼の事を。
「何、ジロジロ見てんだよ」
「見てません!ぼーっとしてただけです!」
「見てたじゃねーかよ、顔あけぇぞ。熱でもあるんじゃねーか」
彼の手のひらが私のおでこにくっついた。
私はまた、一気に顔が赤くなった
「....照れてんのか」
私は恥ずかしくなって咄嗟に彼のほっぺを両手でむぎゅっとした。
「照れてません!」
「....ッ おまっ、やめろよ」
彼は困ったような顔で私の手を振り解いた。
私は我にかえった。
.....ちょっとまってちょっとまって!
何してるの、私!?
神様すいません許してください。
現代に今すぐ戻してください。
もう、今すぐ穴があったら入りたい。
その後、しばらく沈黙が続いた。
何から話していいかわからない。
前斗くんも珍しく黙っていて
きまずくて仕方なかった。
「喉かわかねぇ?」
私はいつも学校の水道で水を飲んでたから
今日の朝は水を飲んでない。
喉がカラカラだった。
「喉、渇きました...でも水なんてどこでもらうんですか?」
「あそこだよ」
彼が指を指した先は井戸の手押しポンプだった
井戸のポンプを押してくれて、冷たい水が勢いよく流れる。
私は両手ですくって勢いよく水を飲んだ
横にいた彼が笑いを堪えてるようにみえた。
「お前、豚みてぇな飲み方するな」
私は勢いよく水を吹き出してしまった。
....恥ずかしい
私は前斗くんと交代してポンプを押した
彼が両手ですくって水を飲む
「前斗くんも豚ですね」
私は彼と同じように笑を堪えながら言った。
「お前なぁ、殴るぞ」
その瞬間
前斗くんが私を追いかけてきた。
私は笑いながら逃げた。
私は、下に落ちていた石につまづいて盛大に転けた。
しばらく顔を上げれなかった。
...痛い もうこのまま現代に戻してください。
さっきまで笑っていた彼の笑い声がとまった。
「おい....」
低い声が近くで聞こえるた。
いつもより少し低い声のトーンだった。
私はゆっくり顔をあげた
「大丈夫です...」
立ちあがろうとしたその瞬間
おでこにズキっと痛みが走った。
「血出てんぞ」
前斗くんは自分のハンカチで私の傷を押さえてくれた。
私はハンカチでおでこを抑えながら行く当てもなく歩いた。
時間がどんどん削られていく。
気づけば一面に広がる夕焼けの光が反射してオレンジ色に光る海面に辿り着いた。
海の音が落ち着く。
後ろから飛行機の重低音が聞こえた。
上を見上げると何機もの特攻機が空を並んでいるように飛んでる。
「俺も、3日後には....」
その瞬間体が金縛りのように動けなくなった。
....まただ...次はどこに飛ばされるの!
どこかに引きずりこまれるように体が浮く。
私は怖くて目を閉じた。
次に目を開けた時保健室のベッド、横には前斗くんがいた。
1945年に行く前の光景だ....
戻ってきたの...?
彼が眠そうに目を開けて私を見た瞬間
「....お前、覚えてるか?」
やっぱり、夢じゃない、前斗くんも覚えているんだ。でも...なんだろう、初めてじゃないような....
「はい、覚えています」
「....私たち、1945年に行った事あるの初めてでしたっけ....」
胸の奥がざわつく。もう1人の自分が、何かを思い出させようとしているように....
私は咄嗟に振り返ると軍服姿の男性が数人立っていた。
見た事のない景色、初めて見た軍服、頭が真っ白になる。
....ここ、どこ?
私は必死に辺りを見渡した。
前斗くんー!!
嫌な予感が胸を締め付ける。
前斗くんー!
ーー
俺はさっきまであいつと保健室にいたよな...?
周りを見渡すと、もんぺ、軍服、見た事ない景色、意味わかんねぇ
「おい、前斗」
聞いた事のない声、咄嗟に振り返る。
....こいつ誰だよ...なんで俺の名前知ってんの
「なに、ぼーっとしてたんだよ、そろそろお前の番が来るから挨拶してきたらどうだよ」
....俺の番?何言ってんだよ
「お前もうすぐ特攻命令下るんだろ?俺たちもすぐ行くからなぁ、どっちが派手に敵艦にぶちぬけるか勝負だな」
その瞬間、遠くから聞き覚えのある声で俺の名前を呼んでいるのが聞こえたーーー
俺は咄嗟に声のする方に走ると、そこにはもんぺ姿のあいつがいた。
「おい!なんでお前がいるんだよ」
「なんでって...わからないです。目が覚めたらここだったんです....前斗くんだって軍服姿でなんでここにいるんですか」
....俺が軍服?
視線を下ろした。
ーーー
私だけかと思った...安心した
でも、なんで軍服なの....?
本当に意味がわからなかった。
その時
「前斗ー、あれ?彼女?」
もう1人の軍服姿の男性が話しかけた。
「あ、いや....違う。」
戸惑いながら答えた。
こんな前斗くん初めて見た。いつもと雰囲気も違う。
「まぁ少し息抜きして来いよ、いつ最後になるか
わからないからな」
「...戻るって、どこに?」
「兵舎だよ、息抜きしねぇともっとバカになんぞ、また後でな」
男性たちは私たちと逆方向に歩いて行った。
私たちは街を歩きながらタイムスリップの事を話し合った。
「私は、ベットで目を瞑った後飛行機のエンジン音と学校のチャイムがなった後でした..でも飛行機の音がいつもより怖くて...ここは本当に夢じゃないんでしょうか」
初めて生きる時代、私はそれが不安だった。
「夢じゃないって事は、俺たちの前世なのかもしれねぇな」
そう言って私に初めて笑ってくれた。
..こんな笑顔するんだ、でも、初めて見るはずなのにどこか懐かしいような感じがした。
「怖くないんですか?」
「何考えても変わらねぇしな、どうせなら
敵艦にぶち当たってやる」
...私にはわかった、怖くないわけない。
いつもの彼の表情じゃなかった
私は、今さっきの''いつ最後になるかわからないからな''これは彼がもうすぐ特攻するからだったんだ。そう思った。
彼に1945年の歴史をほんの少しだけ聞いた。
ヤンキーのくせに頭は良いんだ、、私は初めて前斗くん事を知った。
「あれ、なんですか?たくさん人が並んでますけど、くじ引きかなにかですか?」
私が指差した先は、子供や大人たくさん並んでいる場所だった。
「配給所だよ、配給切符と交換で食べ物がもらえんだよ」
その瞬間、私のお腹が鳴った、かなり大きな音だったから前斗くんにも聞こえてると思って私は顔が赤くなった。
「ちょっと待ってろ」
彼はそう言って配給所に並んで、しばらくして切符と交換した後私におにぎりを差し出した。
私は遠慮しなかった、久しぶりのお米、涙をグッと堪えて食べた。
胃が小さくなっていたのか私はおにぎり半分でお腹が膨れた。
「....ありがとうございます。私の残りでよければどうぞ....」
彼は私と反対側に顔を逸らし耳が赤くなってるような気がした。
「....いらねぇよ、お前が持ってろ」
私はなぜか断ることができなかった。
その時、
「お母さん、お腹すいたよ」
小さな女の子の声が聞こえて、思わず視線をその子に向けた。
あんな小さな子が頑張って生きてるんだ..
私なんてちっぽけ、だと思った。
前斗くんからのおにぎり、とても嬉しかった。でも、お米を食べれない辛さを知ってる...
「これ、私の食べた後で良いならどうぞ」
私は片手に持ってたおにぎりを女の子に渡した。
「お姉ちゃん、ありがとう」
目がキラキラしてすぐにかぶりついていた。
かわいくて仕方なかった
私は咄嗟に女の子の頭を撫でてしまった。
「よかったのかよ」
後ろから彼の声が聞こえた
「はい、大丈夫です、前斗くんがくれたおにぎりのおかげで1人の女の子が救われましたね」
私は前斗くんの顔を見上げながら笑った
彼は一瞬だけ目を逸らした後
私の頭をくしゃっと撫でてはっとしたようにすぐ離した
「.....わりぃ」
....今の、なに?好きじゃないのに心臓がうるさい。私の心臓おかしくなったんじゃないの...
「飼い猫に似てた」
....猫?いや今のは猫を見る目じゃなかった
もしかして私のことを...いや、ありえない
その時、後ろからチャリンと鈴の音がした
「あぶねぇ」
彼が胸に私を引き付けた。彼の心臓の音が聞こえるくらい近かった。
「どこ見て突っ立ってんだよ、ほんとお前俺が助けてばっかだな、俺がいねぇと何もできねぇのかよ」
彼は少し焦ったような顔で言った。
「ほら、いくぞ」
優しいのか怖いのかわからない。でも私はなぜか嬉しかった。
一年前の私だったら、前斗くんが隣にいること不思議に思ってなかったはず。でも今手が届かない、だから彼が言う言葉1つ1つが恥ずかしい。
そんな気持ちになるーー
配給所を離れて私たちは肩を並べて歩く。
いつも歩くの早いのに私のペースに合わせてくれる。
好きになってしまいそう。
でも、多分辛いから好きになりたくない。
私は視線を彼の横顔に向けた。
近くで見た事なかったから気づかなかった。
肩幅が広い。男らしい...軍服着てたらものすごく目立った。
....かっこいい。
もし、本当にこれが前世だったら、私は彼と繋がれてたのかな。
現代でも同じだったら私は好きになっても良かったのかな。
その時
小学生ぐらいの男の子が、走ってきて
彼の目の前で立ち止まった。
「ねぇ、お兄ちゃん軍人さんなの?」
「かっけぇ!俺も将来お兄ちゃんみたいな人になりたい!」
目が前斗に向けてキラキラして、子供らしくぴょんぴょん跳ねていた。
「なれるよ。お前なら俺以上になれるよ」
彼は子供の目線に合わせてしゃがんだ。
「お兄ちゃん、飛行機乗るの?俺も将来飛行機のりたいんだ!」
「お前が飛行機乗る時はもっとかっこいいのになれるよ」
「ほんとか!?」
「あぁ、ほんとだよ」
いつも学校では、タバコの匂いと顔に傷ばかり作ってる彼しか見た事なかった。
本当は優しくてすごく思いやりのある人で、たまに子供みたいに笑う。
そんな彼に思わず見惚れてしまった。
まだ、彼の事を知りたい。
みんなが知らない彼の事を。
「何、ジロジロ見てんだよ」
「見てません!ぼーっとしてただけです!」
「見てたじゃねーかよ、顔あけぇぞ。熱でもあるんじゃねーか」
彼の手のひらが私のおでこにくっついた。
私はまた、一気に顔が赤くなった
「....照れてんのか」
私は恥ずかしくなって咄嗟に彼のほっぺを両手でむぎゅっとした。
「照れてません!」
「....ッ おまっ、やめろよ」
彼は困ったような顔で私の手を振り解いた。
私は我にかえった。
.....ちょっとまってちょっとまって!
何してるの、私!?
神様すいません許してください。
現代に今すぐ戻してください。
もう、今すぐ穴があったら入りたい。
その後、しばらく沈黙が続いた。
何から話していいかわからない。
前斗くんも珍しく黙っていて
きまずくて仕方なかった。
「喉かわかねぇ?」
私はいつも学校の水道で水を飲んでたから
今日の朝は水を飲んでない。
喉がカラカラだった。
「喉、渇きました...でも水なんてどこでもらうんですか?」
「あそこだよ」
彼が指を指した先は井戸の手押しポンプだった
井戸のポンプを押してくれて、冷たい水が勢いよく流れる。
私は両手ですくって勢いよく水を飲んだ
横にいた彼が笑いを堪えてるようにみえた。
「お前、豚みてぇな飲み方するな」
私は勢いよく水を吹き出してしまった。
....恥ずかしい
私は前斗くんと交代してポンプを押した
彼が両手ですくって水を飲む
「前斗くんも豚ですね」
私は彼と同じように笑を堪えながら言った。
「お前なぁ、殴るぞ」
その瞬間
前斗くんが私を追いかけてきた。
私は笑いながら逃げた。
私は、下に落ちていた石につまづいて盛大に転けた。
しばらく顔を上げれなかった。
...痛い もうこのまま現代に戻してください。
さっきまで笑っていた彼の笑い声がとまった。
「おい....」
低い声が近くで聞こえるた。
いつもより少し低い声のトーンだった。
私はゆっくり顔をあげた
「大丈夫です...」
立ちあがろうとしたその瞬間
おでこにズキっと痛みが走った。
「血出てんぞ」
前斗くんは自分のハンカチで私の傷を押さえてくれた。
私はハンカチでおでこを抑えながら行く当てもなく歩いた。
時間がどんどん削られていく。
気づけば一面に広がる夕焼けの光が反射してオレンジ色に光る海面に辿り着いた。
海の音が落ち着く。
後ろから飛行機の重低音が聞こえた。
上を見上げると何機もの特攻機が空を並んでいるように飛んでる。
「俺も、3日後には....」
その瞬間体が金縛りのように動けなくなった。
....まただ...次はどこに飛ばされるの!
どこかに引きずりこまれるように体が浮く。
私は怖くて目を閉じた。
次に目を開けた時保健室のベッド、横には前斗くんがいた。
1945年に行く前の光景だ....
戻ってきたの...?
彼が眠そうに目を開けて私を見た瞬間
「....お前、覚えてるか?」
やっぱり、夢じゃない、前斗くんも覚えているんだ。でも...なんだろう、初めてじゃないような....
「はい、覚えています」
「....私たち、1945年に行った事あるの初めてでしたっけ....」
胸の奥がざわつく。もう1人の自分が、何かを思い出させようとしているように....

