君との思い出~私の愛した人たちへ~

その後二人は帰り椎名さんと私で色々話していた。
椎名さんは自分の生い立ちについて話し始めた。
子供の頃体が弱く、それが原因で耳が聞こえなくなった事、
話す訓練をするために聾学校の幼稚部に通い辛い訓練をしたこと、
小学生までは普通学校にいたこと、
中学生から聾学校に行き高等部までいたこと。
そして彼はいった。
『俺は健聴者にも聾唖者にもなりきれない』と。
私は彼の苦しみを受けとめられるのかと自問自答した。
彼の生きた24年を受けとめられるのかと18歳の当時考えた。
答えは出なかった。