遠い夏の夜
君と歩いた海までの道
ふと見た花畑から
蛍が舞い飛んだ

君は一本の草に止まる蛍を
てのひらでそっと掬った

君のてのひらから溢れる光を覗いてみると

その光がふわりと空に舞い上がっていった

ふたり その小さな光を一緒に見上げていった

同じ蛍を見つめていた
あの夏にはもう戻れない

あの日の蛍のように
君の優しい手から
私はどうして離れてしまったのだろう