博史先生の後任の先生はもうすぐ定年というおじいさん先生だった。
音楽の指導力はあったが
厳しい先生だったので合奏団を辞める人が続出した。
でも私は博史先生の『頑張れよ』という言葉に支えられ辞めなかった。
皮肉なもので博史先生がいなくなってから博史先生が大好きな先生だったと気付いた。
それは憧れでもあり、恋愛に近いものもあったと思う。

年に一度、市内の小学校の合奏団が集まっての合同発表会があった。
それに博史先生も他の学校の顧問としてくる。
会えるから頑張れたのかもしれない。

発表会の日。隣の小学校とあいのりでバスで会場に行くのだが会場に着くと博史先生がバスの前で待っていた。
懐かしかった。
嬉しかった。

舞台そでで自分達の出番を待っている時も博史先生は私の隣にいてくれて
舞台に上がる時もそっと背中を押してくれた。
私の学校の発表が終わってしばらくした後、博史先生の学校の発表があった。
いつも先生の指揮で演奏していた側だったので
先生が指揮をしている演奏を観るのは不思議な気もしたし淋しくもあった。