離してくれない若頭さま

【さくら】

「海斗さん、今日はもう遅いので春山様には泊まって頂きますか?」


影山さんは少し考える表情を見せる。


「案内してやれ」


短く冷たい口調で言う影山さん。


「はい!春山様こちらへどうぞ」


理解が追いつかないまま私はサッと立ってしまい。


元気な人について行ってしまう。


長い廊下、掃除がどこもかしこも丁寧に行き渡っている。


そんなことより!さっき泊まりって言ってたよね!?


無理だよ!怖くて絶対!寝れない!


でも夜も遅いし、ここがどこかもわからない。


「こちらのお部屋をお使いください」


「鍵付きですので安心してお休みくださいね」


ニコリと可愛い笑顔をしてくれる元気な人。


「あ、挨拶が遅れました」


「ぼくは、小嵐あきらです!」


「何かあれば呼んでくださいね!」


またまた可愛い笑顔を見せてくれる。


「さぁ、中へどうぞ!」


スーッと目の前の襖が開けられる。


目の前に広がったのは、旅館レベルの綺麗な和室。


「失礼しますね」


部屋の中に入っていく小嵐さん。


押し入れから敷布団を出しテキパキと寝床を作ってくれる。


こんな贅沢な部屋で寝かせて貰うのは勿体無い!


それに本当にこんな素敵な部屋を貸してしまっていいのか!


「あの!私本当に泊まってもいいんですかね」


「こんな、贅沢な部屋、私には、勿体無いですし!」


私が急に言い出すものだから、小嵐さんは少し驚いた表情になる。


でもすぐに、ニコッと笑ってくれて。


「若頭の許可もありますし、ここはお客様用のお部屋でもありますので、何も気にせず、お休みになってください!」


そう言いながら、テキパキと手を動かす小嵐さん。


「お布団セット完了いたしました!」


「ゆっくりお休みください」


一礼すると部屋の出ようとする小嵐さん。


「小嵐さん!」


私は慌てて、呼び止める。


「お布団のセットありがとうございます!」


「お言葉に甘えてこのお部屋使わせて頂きます」


私は、小嵐さんいお礼を伝えたくて呼び止めた。


私の言葉を聞き終わると、今日1番の笑顔を見せてくれる。


「いえ!全然ですよ!おやすみなさいませ」


静かに襖が閉められる。


部屋が閉まるのを確認すると、ドサっと足から崩れ落ちる。


一気に緊張が抜けた瞬間だった。


「疲れたぁ〜」


お布団に目をうつすと近くに、旅館で着るような浴衣が置いてある。


きっと、小嵐さんが用意してくれたものだ。


私は、私服から浴衣に着替えると電気を消して
布団の中に潜り込む。


絶対寝れるわけない!


でもこの布団ふかふかで気持ちがいい。


少しずつ、瞼が落ちてきて気がつけば深い眠りについていた。